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おがさわらなるひこのオープンソースとかプログラミングとか印刷技術とか

おがさわらなるひこ @naru0ga が技術系で興味を持ったりなんだりしたことをたまーに書くブログです。最近はてなダイアリー放置しすぎて記事書くたびにはてな記法忘れるのではてなブログに移行しました。

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Ubuntu Magazine Japan vol. 01

祝! 創刊!

Ubuntu Magazine Japan vol.01 (アスキームック)

Ubuntu Magazine Japan vol.01 (アスキームック)

(書影落ちるのはなんでだろ。)出るようになってましたね。

20分ほどパラパラめくっただけですが、今までのアスキームックの路線を踏襲して、軽い感じなんだけど大事なところは外していないといういい感じの雑誌に仕上がっていると思います*1
ステッカーも素晴らしいですね (^^)。

ただ一点、印刷屋としては、p.19 の記述はどうしても突っ込まざるをえません。ただし、対象読者層と現状とりえる対策を考えた記事としてはあれで正解だと思います。私が気にしているのは、その先の話です。だから「純粋に色味が合わなくて困っているが、理屈はどうでもいい」人は以下は読まなくてけっこうです。
あと、私はカラーマッチングについては専門家でもなんでもなく耳学問で、openICC の現状も追いきれていないので、詳しい方ご覧になっていたらツッコミお願いします。

  • 色味はカラーマッチングという仕組みで入力・表示・出力と統一的に扱われるようになっています。
    • 色は OS の内部では標準の色空間 (Color space) で統一して扱われるようになっています。
    • そして、入力・表示・出力の各デバイスの色特性を、この標準の色空間にマップするためのカラーマッチングテーブルというものを用意し、一貫して色味が一致するようになっています。カラーマッチングテーブルは周辺機器ベンダが提供するのが普通です。
    • これによって、WindowsMac では、ユーザが色味を気にしないでもそこそこの品質で印刷できるのです。
    • しかし現在の Linux では、カラーマッチングを行うしくみも、もちろん周辺機器ベンダがカラーマッチングテーブルを提供するしくみもありません。
    • 現在 openICC というプロジェクトでここのところを頑張ってやっているところですが、周辺機器ベンダがカラーマッチングテーブルをちゃんと供給するかは未知数です。
  • ということで、本来ならなにも考えなくてもいいところを、ガンマ補正 *2 でなんとかする、というのは、Linux のカラーマッチング技術がまだ成熟していないことの現れなのです。
    • ので、こういうことに興味がある方はぜひ openICC のプロジェクトをよくチェックすることをオススメします。そしてもしよかったら議論や実装に参加されてみてはいかがでしょうか?
    • なお現状印刷に関しては openICC の仕様に準拠した形で動くように実装されている *3 と記憶していますが、残念ながらカラーマッチングテーブルの提供方法については依然議論中だと思います。


まあそういうことはさておき、よい本を作ってくださってありがとうございます。>関係者の皆様
次号以降もがんばってください!


2009.9.30 追記

Twitter で、xcalibについても触れるべきとのご指摘がありました。すみません、印刷屋なのでこのプロジェクトは追ってませんでした (^^;)。
上で書いているとおり、カラーマッチングについては表示(画面)の方も色味が正しく出ていなければなりません。そのためのプロジェクトが xcalib (calib は calibration: キャリブレーション=校正の略)です。不勉強で今プロジェクトページを見たていたらくなのですが、openICC と同じく ICC プロファイルを適用してモニタのキャリブレーションを行うプロジェクトのようです。ただし ICC プロファイルどうするんだろ。Windows から引っこ抜くのかなぁ。だとしたらライセンス微妙……。
GUI も用意されていないし、2008年5月からリリースないし、うーん、過渡期のプロジェクトなのかなぁ。
(注:OpenICC 側のモニタ校正についてはどうなってんだろ……と調べようとしたら freedesktop.org 落ちてる……後で追記します。)

追記したついでに補足すると、キャリブレーションが完璧であっても、人間には記憶色というのがあって、データに記憶された色よりも「なんかもっと赤かった気がする」とかそういう感覚って必ずあるのです。本来ならば、それを「補正」するのがガンマ補正というものです*4
ただし勿論、カラーマッチングの仕組みがきちんとできていない現状で、欲しい色味を出したい、という手段として用いるのは正しいと私は思います。
誤解されると困りますがこのエントリは Ubuntu Magazine Japan の記事の批判ではないです。あの記事は現状においては最良の答えです。このエントリはあの記事の裏話とご理解ください。

*1:いや、関係者を何人か存じ上げているからという内輪褒めではないつもり。

*2:というのがなにかという話は深すぎるので省略して大正解だと思います。私も説明したくありませんので詳しく知りたい方はWikipedia ja の「ビットマップ画像」の「ガンマ補正」の項を見てください。

*3:厳密には、PDF 操作ライブラリ Poppler が openICC 対応しており、Ghostscript も同様なので、PDF Print Path を採用している Ubuntu も、そうでないディストリビューションも、openICC 対応はされている、ということ。

*4:2009.10.1 追記:加えて、特にディスプレイデバイスの場合は設置場所(主に照明)で色味に大きく差が出るので、それを補正するという目的もあります。