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おがさわらなるひこのオープンソースとかプログラミングとか印刷技術とか

おがさわらなるひこ @naru0ga が技術系で興味を持ったりなんだりしたことをたまーに書くブログです。最近はてなダイアリー放置しすぎて記事書くたびにはてな記法忘れるのではてなブログに移行しました。

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特に断りがない場合は、本ブログの筆者によるコンテンツは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

へっぽこ英語のススメ

English

d:id:naruoga:20091105:1257436650 の発表内容を少し補おうかと思います。


何百回でも繰り替えして書きますが、俺は英語が苦手です。
だいたいあんないろんな体系が混じり合って規則がぐちゃぐちゃな美的感覚ゼロな言語が世界標準だなんて実にけしからん。「オープンソースでコード書くなら Visual Basic じゃなきゃ」とかいわれてるようなもんです(嘘

しかしま、英語を使わなければ技術ドキュメントも読めないし*1、バグレポの一つも投げられないし、海外から著名人が来たときに「あんたすげーよ、ありがとう」の一言も言えないし、ぶつくさいっても英語使うしかないのです。

ので、英語大嫌いなオイラがどうやって英語と付き合っているかをさらさらっとメモっておこうかなと。なお「英語力の向上のしかた」ではありません。「ない英語力でなんとなく英語と付き合っていく方法」です。そして私みたいに「まあまあ付き合っていけてるから勉強しなくていいやー」とか思ってると絶対に『英語力』は向上しません。


それからお断りですが TOEIC にして 700 点に近い点数を持ってる人はこのエントリにはなんら価値ある情報はないと思いますので読まないことをお勧めします。

必要なもの

へっぽこ英語とはいえ英語力がまったくいらないとはいいません。ただその基準はかなり低いです。それよりも優先度の高いことがあります。

愛情
  • 会話なら「俺はあなたと話したいんだ! コミュニケーション取りたいんだ!」という気持ちを全面に出すこと。相手にもそう思って貰うこと。お互いに良好な関係を作ること。これはヒューマンスキルの問題で、英語ができようができまいがこういう関係は作れると思います。
  • メールやバグリポートでも、「相手に貴重な時間を割いて読んでもらうために」という感謝と尊敬の念を持ちましょう。そして読んで反応が帰ってきたら心から感謝しましょう(BTS など感謝の意が伝えにくい場合でも、そういう気持ちが大事です)。
  • ドキュメントを読むときは書き手に感情移入しましょう。「コイツはいったいどういう気持ちで、何を伝えたくてこの文章を書いたんだ?」というのは読解の手助けになります。
度胸
  • LT でも話しましたが、すべては「間違えたら恥ずかしい」という感情を捨てるところです。
  • 「間違えたら恥ずかしい」と思う前に「今話せなかったら損する」と思いましょう*2
ホンのちょっとの語彙力
  • 大雑把に「中学生レベル」と考えていいです。大体 500 words ぐらいかなぁ。
  • あと自分の興味があること、仕事で関係することについては、ちょっと強化しておいた方がいいでしょう。カタカナの場合はスペリングを覚えるだけなんですが。
あんまり正確でなくてもいいけど文法
  • これも中学生レベルで大丈夫です。
  • 三単現の s とか時制とかひとまず忘れましょう。大丈夫、カリフォルニアのメキシコ移民のみなさんはそんなこと知らないでペラペラ英語喋ってます。
英語耳を使える気持ちのゆとり
  • 前のブログにも書いたけど、学会発表の Q&A のときはまったく分からなかった英語が、パーティになったら分かるようになったんですね。突然。
    • 一度「ああ、なんだ、わかるや」と思ったら、ポスターセッションで若いエンジニアと議論を交わしたりできた。
  • だから多分、ほとんどの人はオイラ程度の英語耳を持っている、というのが仮説。
    • ただ、緊張してるとそれが働かないだけ。
    • リラックスすれば英語耳も動くはず。一度動き出せばあとは「会話」はできます。
      • ただし、海外の DVD を観てなにいってなんだか分かるレベルにはそうとうの修練が必要だと思います。そういう英語力をお求めの方は各自努力いただくとして。
「あなたの話す相手は Native ばかりじゃない」という認識
  • 特にオープンソースでありがちですが Non-Native はうじゃうじゃいます。
    • アメリカ(やイギリス)に住んでいるからと言ってネイティブスピーカーとは限らないですよ!
  • そして彼らも間違った英語を話したり書いたりすることが多々あります。
  • したがってこちらが完璧な文法知識と素晴らしいヒアリング能力と豊富な語彙を持っていても、分からんときは分からんのです。
  • つことで分からんぐらいなら一生懸命勉強するより先に今あるものでドンドンやったほうがいいってことです。
超簡単英語力診断
  • WikipediaSimple English という言語種があるのをご存知でしょうか。
  • ここでなんでもいいので、例えば Computer とでも入れて検索してみてください。たとえば冒頭の一パラグラフはこんな感じです。

A Computer is a machine that changes information when it is told to do so. A person uses a computer by telling it to do things, like play movies or go to Wikipedia. Computers do not know English, so people must tell their computers to do things by speaking the computer's language. Programmers speak the computer's language, and use it to write programs that tell the computer what to do. Normal people use the programs that a programmer wrote to tell the computer what to do.

  • まずはこのパラグラフだけでも辞書・文法書なしで『なにいってるか分かる』でしょうか。
    • 訳す必要はありません。知らない単語、構文は前後から補って意味を推測すればいいです。
    • これぐらいならなんとか読めるよ、というなら、オイラ的へっぽこ英語には十分です。
  • 辞書を引いたり文法書を開いた人も含めて、次は全部を読み通してみましょう。なるべく辞書は引かない努力をして。
    • 1パラグラフに平均して1個以上、辞書を引いた(=前後から意味がまったく取れない単語があった)人はもうちょっと語彙強化したほうがいいかもしれないな、と思います。
    • 英語の構文についても同様ですね。Simple English Wikipedia には複雑な構文はほとんど使っていないので中学生の学習参考書をやり直すレベルで十分だと思います。

各分野における英語の使い方

英会話

そもそも英会話する機会がない! という人。もちろん日常では私もそうです。

  • 英会話学校に行く。いいですね。お金があれば。
  • 会社の英会話スクールなんかに通う。チャンスがあればこれもよし。
  • 海外へ旅行。おまけに語学留学なんて。これができるレベルの人はこのエントリ読んでませんね。どうぞ楽しんでください。
  • 海外のカンファレンスなどに出張で参加する。あるいは国内の国際カンファレンスに参加する。結構ですが、レセプションパーティの類には必ず出ること! 人の話聞くだけでは片方向なので「英会話」が成り立ちません (質疑応答だと緊張するしね)。発表するのはさらにいいですが、国際会議で発表しようって人は以下略。
  • んで、もっともオススメなのは、

国内の国際会議にボランティア参加すること!

こいつの何がいいかって言うと:

  • 強制的に海外からの発表者と話さなければならない機会がわんさかあるから。そしたらなんか出てきます。火事場のクソ力ですね。
  • レセプションパーティにも潜り込めたりできるので自発的に話すチャンスだっていくらでもあります。
  • 英会話というのは「こちらが言っていることを相手が理解してくれる」ことがとても重要なので、わざわざ国際会議にくるような連中は頭が基本的にいいのでその点ではすごく有利です。
  • おまけにその国際会議が自分の専門に近いところであれば専門的な議論もできちゃうというおまけ付き。自分が面白いアイディアを持っていれば、相手は必ず熱心に聞いてくれます。


んで機会があったときにいくつかポイントを言えば、

  • 発音なんかカタカナで構わない。l と r、s と th とか日本人苦手だけど、相手はコンテクストで拾ってくれる。
    • ときどき英会話の本とかで、レストランで「ライス (rice) をお願い」といったら「うちにはしらみ (lice) はねーよ、出ていけ」って言われたとか書いてるけど、それは単なる作り話か、その店かウェイターが日本人嫌いだったか、たんにそれだけだと思う。普通レストランでシラミを注文する奴はいない。
    • 大体通じなきゃ別の言葉を使えばいいのだ。俺はカリフォルニアの San Jose Airport のコーヒースタンドでカフェラテの「Large」が通じなかった男だ。諦めて「big one!」といったら「Oh! Large!」って俺の発音と区別つかねーよ (^^;)
  • 文法もあんまり気にしない。私なんかほとんど疑問文使わないです。平叙文で語尾を上げれば疑問文だって分かる。正しい表現が出てくるのを待つよりひたすら口に出した方がいい。
  • 英会話の本には「英語で考えろ」とか書いてあるけど、へっぽこ英語ではそんなことは求めません。我々日本語の方が得意なんだから、まず日本語で言いたいことを思いついたら、それをなるべく簡単な表現 (= へっぽこ英語力で表現できる) に変換して、それから英文にして言えばいい。これは英作文でも一緒。ただ会話の方がリアルタイムで、英作文は時間がかけられるのが違うだけ。
  • 簡単なつなぎ言葉をいくつか覚えとく。あえて英語では書きませんが、「ところで」「そーだね」「ちょっと待って」「つまりxxxだよね、合ってる?」「ごめん、英語でなんていうか忘れたんだけど」とかそういう類の言葉を持っとくといいです。
  • 必死にならない。「あなたと喋るのたのしいよー」って感じにニコニコ喋る。ジョークも織り交ぜる。相手のジョークは笑う。ただ笑うだけじゃなくてすぐさまジョークを返せればなおいいよね。
    • ただしわかんないのに一拍遅れて笑う(あれはけっこう虚しい)ぐらいなら「ごめん俺の英語だとわかんなかったよ、誰か説明してよ?」とか言ってもいいと思う(これは人それぞれだけどね)。
  • 常識的だけど宗教と政治の話と猥談は止めておけ。

メール、バグレポートなど

こっちから英語を書く場合です。お友達への挨拶メールというより、仕事やオープンソースプロジェクトにメールを出す場合。
私が気をつけてるポイント。

  • まずは読み手に対し敬意を払う。読んでもらうためにはどう書けばいいか考える。
  • 文例集とか使わない。なぜならその部分だけ浮くから。自分の語彙と文法で書く。その方が相手に届く。
    • まあでもスペルチェッカとグラマーチェッカはかけといた方が無難。
  • 変に卑屈にならない。「俺の意見間違ってるかもしれないけど」とか書いたら「間違ってるかもしれないメール読んでる暇ない」って思われるかも。「俺はこう思う。その理由はこれこれだ。どう思う?」みたいに、意見、理由をはっきり書くほうがいいですね。
  • 英語のメールを書くのはへっぽこ英語としてはかなりタフなのですが、やっぱり一通のメールに30分以上は時間をかけたくないです。で、書き上げたらちょっと寝かせておいて、ざっと見直す。時制とか冠詞とか単複とか細かい文法をチェックするのはこの段階でいいです。
  • メールしたらすぐに返事が来たけどすぐには読めないなぁ……というときは「すぐに返事くれて有難う」ということだけでも伝えよう。

BTS の場合はもうちょっと人対人ではなくなるわけだけど、BTS の中の人がたくさん動いてくれるからバグが治るわけで、感謝の気持ちを忘れずにバグレポしましょう。

英語のドキュメントを読む

ここまで来るとコミュニケーションの割合がかなり減ってくるけど、「つまり君は何が言いたいわけ?」というのをつかむのは一種のコミュニケーションだと思うのです。だから「文を読む前に、まずそのドキュメント全体(本なりなんなり)が何を伝えようとしているのか」をつかむことは大事です。本だったら Preface とか手抜きして飛ばしがちなんだけど、この観点では読んでおくの大事。


あとなるべく辞書を引かないで読む努力をしましょう。リズムが悪くなるし、なんといっても辞書と原文を往復するのがむちゃくちゃ億劫です。文脈依ならホントに分からない単語ってかなり減ると思います。語彙力も大事ですが、文脈から意味を推察する力はもっと大事です。


さっきの Simple English Wikipedia でも似たようなことを書きましたが、一個の文で1回以上辞書を引いているのだとしたら、そのドキュメントはあなたにとってややレベルが高すぎるドキュメントだと思います。
API リファレンスぐらいなら一個完結なのでそのまま読み進めてもいいと思いますが、例えばそのレベルで SICP やガウディ本読むのはちとムボーなのでもうちょっと頑張った方がいいかもです。


まあ「英語のドキュメント読んでバリバリなんかするぜ」って人の大半はたぶんオイラより英語できるのでこの部分はさらっと。

翻訳

ただ読むより敷居が高いのが翻訳。

文章をただ読むとしたら「なるべく辞書は引くな」なんですが、翻訳の場合あんまり適当な訳だとまずいので精度が要求されます。となればやっぱり辞書を引かざるを得ません。
辞書選びに関しては私の範疇を越えるので書きませんが、できればオフラインでもひけるちゃんとした辞書が欲しいですね。

でも実は翻訳に一番必要なのは「日本語力」です。
この文章って日本語としておかしくない? ということを感じ取るセンサー、直訳だとどうしても日本語にならない場合、意味を汲み取って作文するぐらいのことをしないと読みやすい文章には絶対になりません。

あと機械翻訳の使用を勧める人も多いですが私はあまり勧めません。
機械翻訳ですっと意味が通る日本語が出てくるような英語なら、大抵、ぱっと訳せてしまいます。「これどうやったら日本語になるんだ?」って悩む奴は、機械翻訳でもボロボロになります。ボロボロな日本語から正しい日本語を推測するよりは、単語と前後の文脈から意味を推定して一から作文するほうがずっとラクですね。私にとっては。

IRC / 各種チャット

えっと、一言。
むちゃんこ難しいです (^^;)。

ちんたら英作文してたら議論はすっ飛んでっちゃうし、IRC 語的な特殊なジャーゴンも多いし、非常にツラい。

唯一私が助言できることは「臆せず割り込むこと」だけですね。
「そこちょっといい?」と言ったら、まあ普通の人はこっちが作文してタイプする間ぐらい待ってくれます。

あと、英会話とちがって記録に残っちゃうのは恥ずかしいですが、文法もスペルミスも無視してがーっと書いて、「よくわかんない」といわれたら別の言い方を考えればいい、ぐらいの気持ちでいいんじゃないかと。
運がよければ「お前の言いたいことはこういうことか?」と言ってくれる人もいるので、そういう人が出てきたらしめたもの。

まとめ

ということで、英語を勉強しないで英語を使おうの勧めでした。
もちろん英語を勉強するに越したことはないですが、勉強してないから、自信がないから、といって世界と接点を持たないのはもったいない。特に IT エンジニアとしては。
多分大抵の人は、ちょっとだけ勇気を出せば英語でいろんなことができると思います。

……まあ、英語の勉強それ自体は大事なんだけどね……勉強しなきゃ……はぁ。

*1:むろん、本になって翻訳されるのを待つとか、日本語で誰かドキュメント書いてくれるのを待つ手もありますが、それは cutting edge な技術からは1周遅れぐらいになるのを止むなしとするってことを意味します。そもそも Apple みたいにテクニカルドキュメントを一切翻訳しない会社の場合 (この点機械翻訳でも一応ドキュメントを揃える MS はやっぱ偉いと思う)、新機能にオンタイムで追い付くことができなくなります。

*2:逆に英語ができる人へお願い:他人の英語の間違いに気づいたときに指摘してあげるとき、恥ずかしいと思わないで済むような工夫(みんなの目に触れないところで注意する、言葉遣いに気を遣う)をしてあげてください。あなたには簡単なことでも(私を含め)当人は必死なので、そこで嘲笑でもされようものなら死にたくなります。