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おがさわらなるひこのオープンソースとかプログラミングとか印刷技術とか

おがさわらなるひこ @naru0ga が技術系で興味を持ったりなんだりしたことをたまーに書くブログです。最近はてなダイアリー放置しすぎて記事書くたびにはてな記法忘れるのではてなブログに移行しました。

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特に断りがない場合は、本ブログの筆者によるコンテンツは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

本日付けで株式会社リコーを退社いたします

与太話

一部の方には口頭ベースでお知らせしておりますが、2011年9月30日を持ちまして、株式会社リコーを退社することになりました。

プリンターメーカーの人間として紙の可能性をもっと自由闊達にいろんな組織・人間と議論できるような会社に変えていきたい

メーカーという中でエンジニアが生きやすい風土作りはメーカーの中の人間しかできないから、それを達成するのが目標

優秀なエンジニアとサラリーマンエンジニアどっちにも価値があるのであって、対立関係ではなく相互に協力し合えるマインドセットを浸透させたい

技術的にはどこにも優れたところのない自分にとっては、大企業にいるということだけが強みなんだから、ソフトをハックできない代わりに会社をハックしたい

とかえらそうなことを抜かしておきながら逃げ出してんじゃねーよ、と思う皆さんも多いでしょうが、そのとおりです。嗤ってやってください。

Why?

弊社*1 が早期退職者優遇制度というものを導入したのは新聞報道などでご存知の方もいるかと思われます。

グループ全体で1割の人員削減を狙い、その中でまずは本社が人員の見直しを行うことで筋肉質な開発体制を目指すという謳い文句になっていたかと思います (私は新聞を読まない人間なので、実際はどう書かれていた知りませんが)。

もちろん、「早期退職者」なので、あくまでも自由意志による希望退職であります。最終的に退職を決めたのは私自身の意志ではあります。

その理由としては、まぁ自分が設計者に向いてないし才能もないし*2、もっと違う、具体的にいえばもっと個別のお客様に働きかけるような仕事がしたいなぁってことをここ5年ぐらいずーーーーーーっと考えていたので、ま、いい機会かな? と思った、ということはあります。ので、募集が出たときに応募しよう応募が出たときに募集しよう*3 と思いました。

……けど。

やっぱりデカイ口を叩いてたこともあって、もうちょっとこの会社でできるんじゃないか、と思い返して、やっぱり応募するのはやめよう、と思った矢先に、偉い人が面談したいって連絡をもらって。

まあ、あとは想像してくださいナ。

社内でどういう風なことがあったかってのはそれこそ2chで弊社を検索すればたくさん出てくると思いますので、ここでゴシップっぽいことを書くつもりはないですけど、自発的な応募だけでは目標を達成できないという判断があったんでしょうね、きっと。

16年6ヶ月を振り返って

私ことおがさわらなるひこは、どうやら記録を手繰ると修士課程を卒業後、1995年4月にこの会社に入ったみたいですね。つことで今日でちょうど16年と6ヶ月ってことになりますな。

まぁ暇な人はぼくの LinkedIn のプロフィールに大体の職歴は書いてあるんで見てもらえばいいんですけど、

  • 周りに誰も経験者がいない中で Windows 95 のプリンタドライバを一人で書いたり、
  • 英語まったくできないのにサンノゼのオフィスに1年丁稚奉公に行かされたり、
  • PCとプリンタの間で通信をするモジュールを担当してたので、内部のセンサーがどうこうじゃなくてエンドユーザにどう見えるかを考えてインタフェース仕様切ったり、
  • プリンタの状態監視ツールの表示部分を実装するチームのマネージャやってたのでデザイン部門と一緒に機械にはりついてユーザがどうトラブルを除去するか写真取りながら取材したり、
  • 販売会社から来る特注リクエストを精査して「それってこうやったほうがよくない?」とかプチシステムインテグレータっぽいことをやったり、
  • FLOSS デスクトップの印刷ソリューションを立ち上げるべくいろんな人の話を聞いて回ったり、

まあ大体面白いことをさせてもらってた気がします。

一方で、自分のエンジニアとしてのダメさ加減にはほとほと呆れてましたし、見積もりが甘くて時間が足りなくなり死ぬほど残業して何とかテストに突っ込んだはいいけどバグがうじゃうじゃ出てそれをつぶしたらリグレッション起こすとか、もう死ねよ自分、とずーーーっと思ってました。謙遜ではなく。自分が嫌で嫌でしょうがなかった。

まぁそんなわけで、プログラマは辞めたくてしょうがなかったのですね。
プログラミング自体は楽しいけど、自分がプログラムを書いてお客様に価値を提供することには、あまり喜びを感じられなくなってきた。疲れちゃったっていってもいいかな。

ま、そんなわけでね、オープンソースってものに面白さを感じてたのは、「ものを作らないで顧客に価値を提供できる手段」としてありえるから。
これだけソフトウェアの規模が大きくなると自社開発で全部まかなうのはもうありえないじゃん? だから他人が作った成果物で、自分たちが使えそうなものは積極的に使う。ただ使うだけだと会社のソーシャルイメージが下がっていいことないので、ちゃんとコミットできる仕組みを整備する、そういう道筋を作るなら、自分でまたコード書いてコミットするのもいいなー、なーんてことを考えて、社内で賛同してくれる人もいたのでこそこそと作業してたんだけどね、それが結実するのを見られないのはちょっと残念でした。

ここを読んでる人は私が心を病んでた(今も通院はしてる)ことを知ってる人もいるでしょう。その理由については、どう書いても言い訳っぽくなってしまうのでよしておきますが、まぁ、結局何事も急ぎすぎたのかなぁ、周りの意識を早急に変えようとしすぎたのかなぁ、というか周りを変えられるなんてのは驕りだよなぁ、もっとクレーバーにやればよかったのかなぁ、と思ってます。

まぁいろいろあったけど、総じて、よい会社生活だったんじゃないかな。

これからのこと

ぜーんぜん考えてません。

前述のとおり私は自分の技術者としての才能をこれっぽっちも信じてない*4 くせに、キャリアとしては技術しかやってないので、再就職は大変でしょうなぁ(ヒトゴトっぽい)。

一番やりたいことは最初のほうに書いたように、印刷というエリアで、FLOSS のデスクトップということに関して、エンドユーザーに直接貢献することなんですけどね。

デスクトップのエンドユーザに自分で BTS しろとか、パッチ送れとかいうのは、普及してほしくないとしか私には思えないんですよね。であれば、それを肩代わりする人間が必要。問題を解析して、どのモジュールの問題かつきとめて、アップストリームに報告して、できればパッチを書くとかね。そういう緩衝材は絶対に必要。

んで、それがマネタイズできるようでないと本当の意味での FLOSS デスクトップの普及はないとは思ってるんだけど、いまんとこそういうビジネスをやってらっしゃる会社というのはほとんどないし、それに固執してたら永久に就職なんかできないだろうしねぇ。マネタイズにこだわらなければ個人で勝手にやればいいんで、まあそれでよいんですが。

私のキャリアだと結構エージェントはプログラマを薦めてくるみたいなんだけど、それって今やりたいことじゃないんだよなぁ。どっちかというとサポートエンジニア的なものをやりたいんだけど、あれって要経験って話を聞くしねぇ。

あと時々聞かれるのが「起業しないの?」なんだけど、それはぜんっぜん考えてません。起業って奴は「起業したい」じゃなくて「何々するための最適な手段が起業」ですよね? 私はその「何々」がないから。え、FLOSS デスクトップのサポート? そんな、それをマネタイズするには「FLOSS デスクトップのサポートに金を払ってもいい」という組織に食い込む必要があるわけでさ、そんなの私にできるわけないじゃん。

まあ退職金の上積みもあるので、のんびり考えますわ。

IT とかそういうの捨てて、細々と食べられるだけの仕事をして食い延ばしつつ、プライベートタイムで FLOSS なデスクトップに対する貢献を地道にやるってのもいいかもしれんし、ストライクじゃないにしても自分の持ってるモノに近い仕事をがんばって探して、なんとか会社を通じて世の中に貢献する道を探すべく足掻くのもありだし。

どちらになるんでしょうね。


あ、積極的に売り込みはしないけど、こんな奴のこんなスキルでも使い道があるって人は拒むものではありません(^^;

最後に青臭いことを

最初のほうに書いたいろいろなこと、私はまだあきらめたわけじゃないです。

大企業ってものは絶対に必要だし、大企業のエンジニアだって幸せになる権利はあるし、それはハッカー的な人もサラリーマンエンジニアにも等しく与えられる権利だし、それぞれの生き方を尊重しつつポテンシャルを発揮できる会社になることが、これから国際競争力が求められる中ますます必要だと思うんですよね。弊社は今現在人員整理をしているし、私自身整理された一人ではあるのだけれど、だからこそ残った人たちの環境がよいものになってほしいとおもうわけです。

あと私は紙というものの可能性をやっぱり信じていて、でもそれはプリンタメーカーだけでは可能性を最大限に引き出すことはできなくて、やっぱり鍵になるのはコンテンツホルダーで、コンテンツホルダーとプリンタメーカーが一緒のテーブルについて一緒にどんなサービスを作れるのか考えるような場があってほしいと思うのです。

私は去るわけだけど、そういう世界になるために外からできる支援というのがあるのか考えたいと思うし、いろんな人と情報を交換していきたいです。


てなわけでしばらくは自宅警備員になるけど、今後ともよろしゅー。

*1:まだこの時点ではね。

*2:この仕事で必要な才能の多くなんか努力でカバーできるって言われそうだけど、そもそも努力できるってのは才能だってことを皆さん知ったほうがいいですよ。

*3:指摘されるまで気づきませんでしたが、逆でした……。

*4:むしろ人間としての価値を信じてないともいう。