おがさわらなるひこのオープンソースとかプログラミングとか印刷技術とか

おがさわらなるひこ @naru0ga が技術系で興味を持ったりなんだりしたことをたまーに書くブログです。最近はてなダイアリー放置しすぎて記事書くたびにはてな記法忘れるのではてなブログに移行しました。

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Software Design 2012年10月号

発売日は明日ですけど、一日早く届いたので。

Software Design (ソフトウェア デザイン) 2012年 10月号 [雑誌]

Software Design (ソフトウェア デザイン) 2012年 10月号 [雑誌]

第2特集「Linux プリント環境の教科書」

まあいわずとしれたワタクシめの記事でございます。
こんなヤツに22ページを与えて本当に大丈夫か? とかけっこう不安だったわけですけど、特集前に呼んでいただいて編集意図などを聞かせていただき、相変わらず私が凄い勢いでしゃべって、そこから篩にかけて構成を考える、というところまではやっていただいて、時間的にもけっこう十分いただいたので、まあなんとかなりました。


これはもう本当に繰り返し繰り返しいろんなところで訴えているのですけど、プリンターベンダーおよびプリンター技術者だけが印刷技術・印刷環境を気にかけていればいい時代は終わりつつあり、今はアプリケーションレイヤ、ネットワークエンジニア、その他のエンジニアが手を取り合って新たな世界を作っていくときなのではないかと思っています。

その点で、Linux というところにフォーカスせざるを得なかったのはやや残念ではありますけれども、全体像を俯瞰するところから印刷サブシステムとその責務、ネットワークプロトコル、そしてプリンターそれ自身について、食い足りなくなることを恐れずに、とにかくいろんな話題を盛り込ませていただいたので、ぜひ印刷専門でない方にもご一読いただき、できればプラスでもマイナスでもいいからフィードバックをいただければと思います。


とはいえ、編集さんには多大なごめいわくをお掛けしたのは確かです。主に分量面で。
第5章が文章だけで最初は8ページあって、さらに没になったイラストも数枚あったといえば、編集さんのご苦労も察することができるのではないかと思います……書きすぎですがな……。それがあのように、カタログ的に読めるような構成にちゃんとなっているわけですから、プロというのはやはりすばらしい*1


書いてみて思ったんですけど、多分ぼくが本当にみんなに知っていただきたいことを全部、正確さと深さをもって盛り込むには、分量で5倍、知識で20倍ぐらいないと無理なんじゃないでしょうか。分量はもう、自費出版でもなんでもいいんですけど、知識はもうこれは私一人だと無理なので、チームでやるしかないわけですけど……誰か一緒に書いてくれる人……いないよなあ……少なくとも:

  • アプリケーションサイドの、特にテキスト・フォント周りとカラーマッチングの知識
  • プリンターのコントローラ周りの外部からみた仕様
  • ネットワーク周り。最低でも LPR、IPP と Print Schema、それから SNMP/MIB、Zeroconf、名前解決あたりのちゃんとした理解
  • 少なくとも電子写真方式とインクジェット式だけでいいから、ちゃんとメカ的な仕組みについての知識
  • POD とか DTP、帳票印刷などのビジネスオフィスでない印刷分野についての知識

がないと辛いです。うーんうーん。


まあ、ないものねだりをしてもしょうがないので。
現状の自分の持ってる技術、経験も聞きかじりも含めて、とにかくありったけをぶつけて、現状の媒体枠で考えられる最大規模の分量を与えてもらって思いの丈をぶつけることができて、不満はなしとはしないけれども、編集サイドのご尽力もあって、かなり読み応えがある記事になったと思います。ぜひご一読お願いしたいなー。
そしてこんなマニアック (と見えると思うけど、私はもっとコモディティ化すべき技術だと思ってますが) な企画を向こうから提案して下さった Software Design 編集部の方には感謝してもしきれません。

あと前にも書いたけど、CUPS 印刷システムについて日本語で読める書籍が、大昔の CUPS 1.1 ぐらいだったかな?の付属ドキュメントの翻訳:

CUPS:共通Unix印刷システム―新世代の印刷システムを利用する

CUPS:共通Unix印刷システム―新世代の印刷システムを利用する

しかないのはちょっとどうよという気がするので、その現状をなんとかする最初のステップになればいいなあなんて思っております。


あ、Appendix について私に何か語れと? ……うーん、あの、いや、察してください (^^;

その他の記事

長くなるとアレなので箇条書きで。

  • Chef の特集は、今まさに私が一番関心を持ってることズバリの特集なんで、まだ読み込んでないですけど非常に楽しみです。
  • かずはまけんたろうお兄さんの Ubuntu Monthly Report はうぶまが Vol.9 の「ホンヤクしようぜ!」と併読するといいと思います!(モロマ;モロなマーケティング
  • iOS の記事はぶっちゃけ毎回読み飛ばしてたんだけど GCCLLVM の関係を要約した記事でけっこう読み応えがあっていいすね。
  • 恵比寿通信は面白かったので、今後に期待っす。
  • 小さな記事だけど SSH の記事はいい感じ。弊社の新卒君に読ませよう。


ということで、明日会社用に一冊買ってくるかなー。

*1:電子出版とかいろいろいわれてますけど、物理媒体というのはやっぱり「課金しやすい」という点で大きな意義があって、電子出版によって、編集さんやデザイナーさん、出版社というところにお金が回らなくなって、全部一人でできるスーパーマンしかアウトプットできなくなる世界が来るとしたら、それはすごくヤだなあと思います。書籍というものの受益者として、価格が下がって欲しい、いろんなところで読みたいというニーズと、経済として回る意義、その両立は考えていきたいですね。え、お前ごときが余計なお世話?