openSUSE 勉強会 2010年12月に参加してきた
さくさくっと書いておく。
日本openSUSEユーザー会という組織が運営している勉強会でございまして。
その割には、全然openSUSEやSLEと関わりないことを話しても大丈夫な、割とカジュアルな会だったりします。
ぼくはopenSUSEのユーザーではないからユーザー会に関わるつもりは全くないんだけど*1、勉強会だけはメンバー外でもウェルカムということでお邪魔させてもらってます。
今回の勉強会のページを見てもまだメモとか上がってないみたいなんで、私のメモ書きだけさらっと。
「openSUSE の指紋リーダーライブラリの話」 by たっけーさん
勉強会の主催 (本人は「臨時」といっている) であるたっけーさんのお話。
まあありがちなんだけど今openSUSEに入ってるライブラリだと最新のデバイスに対応してなくて、じゃあビルドしようとするとライブラリの依存関係ではまってあーこりゃこりゃという話。
ライブラリの依存関係の話はめんどくさいけど、やっぱり地道に依存ライブラリ全部OBSに放りこんで依存張るしかないのかなあ。SUSE的には良く分からんけど。
「メインストリーム動向雑談」by naruoga
まあ opensuse-project から Project Tumbleweed の話とかしたような気がする。雑談なのでよく覚えていない。
「openSUSE で作る VPN サーバー」by 山口さん
なんかここらへんはぼーっとしてたか、自分の発表資料いじってたか、ORCA のこと調べてたかしてあんまりちゃんと聞いてなかったですゴメンナサイ><;
社内とかのネットワークの外から中に入りたい場合、PPTP / L2TP / OpenVPN とあるけど、結局は VPN がソリューションとして一番バランスよくね? って話だった気がする。でも iOS の VPN は Jailbreak しないとだめでショボンヌとかいってたよーな気がしたな。
あと VPN のログインにハードウェアキーとか OTP とか使えないの? って話が出てたな。OpenVPN は商用版があるからそれだとできるかもだけど調べないとワカンネってことだったかな。
「盲ろう者が使うアプリケーションについて」by 齋藤さん
これを聞きに来たんだよ! あたしゃ。
個人的には Linux っつか Free Desktop における A11y (Accessibility の略) に興味があってさ。
齋藤さんは自身が盲ろう(漢字で表記すれば「盲聾」)、つまり、目も耳も不自由な方なので、使う側として非常にリアリティのある話が聞けました。
盲ろう者というのは日本ではあまり馴染みのない言葉ですが、英語だと Deaf-Blind という言葉もあり割とメジャーとのこと。視覚障碍、聴覚障碍それぞれを単独でお持ちの方に比べると不自由なことも多いため、社会福祉法人全国盲ろう者協会という団体があり、支援を行っているとのことです。
なお openSUSE 的には Board Member で openSUSE-GNOME プロジェクトリード、かつ GNOME-A11y プロジェクトメンバーである Bryen Yunashko が盲ろう者であることは有名ですね。以下 Board Member の記述から引用。
As the first known Deaf-Blind member of a Linux-based board, he is also a strong proponent of increasing accessibility through computing and is an active member of the GNOME A11y (Accessibility) Team and maintainer of the Planet A11y aggregator site.
齋藤さんは全盲で、耳は補聴器で聞こえるレベルの障碍をお持ちのようで、聞こえにくいとはいえ聴力に頼れるので、PC については読み上げソフトを用いれば対応可能だそうです。ただし状況によっては点字ディスプレイ; Braille display*2などを用いたほうがよりよいとのこと。
問題は、多くの OS はインストール時点で読み上げをやってくれるわけではないし、Windows の場合アクティベーションなどが障害になっていること。GUI だと読み上げがやりにくいか、そもそもオペレーションができないこと。タッチパネルで操作するようなデバイスの場合は非常に操作が難しいこと*3、なんといっても、Windows では読み上げ機能がビルトインされておらず、読み上げソフトウェアは比較的高価なソフトウェア*4であるため、人と同じようにPCを使いたいというだけでエクストラコストが発生する。
そこで Windows だと NVDA (Non-Visual Desktop Access) というプロジェクトがあって、秋の OSC で日本語化プロジェクトが存在することを知りましたが、齋藤さんも開発に関与している、とのことでした。
んで Linux ですが、もともと Sun の A11y チームが開発して GNOME に取り込まれた Orca という読み上げソフトがあります。コイツを使うことで Linux では英語なら読み上げが可能になるわけですが、
- 普通の GNOME デスクトップは決して A11y を意識してデザインされていない*5
- 同じく、多くのアプリケーションは A11y 対応でない
- 非常に多くの言語に対応しているが、残念ながら日本語には対応していない
- 基本 Disable なので、インストール時の読み上げはしてくれない
ということがあるそうです。
そこで登場するのが Vinux。
Ubuntu をベースに A11y を強化したディストリビューションです。
詳しくはプロジェクトページをご覧頂いたほうがいいですが、
- インストール時から Orca が Enable なのでインストール操作も読み上げてくれる
- 点字ディスプレイを標準でサポートしている
- よく使う操作をキーボードショートカットに割り当てている
- lynx や irssi などの CUI ベースのアプリケーションを豊富にプレインストールしている
- メニュー構成がルートから手繰れる木構造になっている
といったものです。
ということで、日本語を我慢すれば、Vinux のほうが Windows なんかよりよっぽど快適、と。
おお、素晴らしい。
これで Orca が日本語化できてれば最強じゃん? と思うんだけどなぁ。
Orca に NVDA-ja の読み上げエンジンってくっつけられないのかな?
IM の読み上げ機能とか実現するのに iBus とかってそういう機能もってるのかな?
つかそもそもオイラプログラミングとか長らくしてないしできるんかいな?
とか夢が膨らむ膨らむなわけでございます。
「Squeak Smalltalk の話」 by naruoga
私のネタ。
ほぼぶっつけでやったのでオペレーションがもたついてあんまり面白くならなかったのが残念。
前説のスライドがこれ。
あとは SBE の例題をやろうと思ってたんだけど、ついうっかり環境の話とか長々始めてしまったため、Workspace にハロ出して回転させて「ほらーこれでもコード書けるでしょー」とか、ウィンドウをinspectしてselfにメッセージを送って見た目が変わることを確認するとか、つまんないデモで終わってしまった。ゴメンナサイ。
「openSUSE ユーザー会 2010 年総括」 by 桔梗さん
今年の活動内容総括。まあ私はユーザー会のメンバーではないので軽くスルー。
日本 openSUSE ユーザー会忘年会
なんでユーザーでもないのにいるんでしょう私。
まあいいや。
所感。
- 他人事感が強かったので、比較的私にしてはおとなしかった。
- けど OWN-ja の内情についてはちょっとバイアス掛かりすぎの理解*6 をしてたようなので、ちょっとそこは強く主張しといた。
- 日本で openSUSE を盛り上げる活動も、mainstream に入り込む活動も、日本人が openSUSE を使いやすくするための地道な活動も、みんな素晴らしい。どれが上とか下とかないっすよ。
- でも、みんな openSUSE がどうなるとか興味ないのかなぁ。openSUSE プロジェクトが瓦解しちゃってもいいの? 日本で活動するにしても、もっと mainstream に感心を持ったほうがいいと思うんだけど。
- 気に入らないものを口を極めて dis ったとしても、世の中はなんにも変わらないし、少なくとも私はその人の品格、ひいてはその人を表に出すコミュニティの品格を疑ってしまうよなあ、と、口汚い dis を聞きながら思ったりした。
- 某 N さんが本気を出すとどうなるのかちょっと見てみたい (アルコール摂取的な意味で)。
ま、そんなわけで。
Vinux も Squeak も全然 openSUSE な話じゃなかったけど、そういうのを許容してくれる勉強会というのは尊いと思う。
だから勉強会をもっともっと盛り上げて、そこから openSUSE 使ってみてもいいかもな、って人を増やしていければいいんじゃないかと無責任な外野として思う次第。
*1:OWN の翻訳したり opensuse-ja ML で発言したりするのはユーザーでなくてもいいのでやりますが。
*2:不勉強ながらこのようなI/Oデバイスがあることを初めて知りました。
*3:ソフトキーボードで読み上げ対応にすることもできるけれども、ハードキーよりは格段に操作性が劣るそうです。
*4:最強の読み上げソフトウェアと呼ばれる JAWS は値段も最強で149,100円!
*5:メニュー構造が単一のルートから手繰れないのが難しいらしいです。Windows でもクラシック表示で使われていた方が多く、Windows 7で廃止されたときには衝撃が走ったとかなんとか。
*6:いや私の説明が悪かったんだろうけど……。