日経Linux 2011年1月号のプリンターの記事について
とゆことで、たまにはブログのタイトルにふさわしい内容も書かなきゃね。
今売りの日経Linux、2011年1月号は周辺機器特集で、プリンターも取り上げられてました。
Free OS の印刷環境について誰に頼まれたわけでもなくスポークスマンをやってる私としてはコメントしないわけにはいきますまい。
まずは間違いの指摘
些細なこととはいえ (校正ミスかな?) 間違いは間違いなので。
p.22の図2(b)なんですが、「プリンタードライバー」の赤い点線枠の掛かり方が間違ってます。
フィルターパイプラインの中で最終段の「PDL filter」だけにかかるのが正解です。というか本文はそうなってるし。あとは CUPS その他が提供するモジュールなので、ドライバー自体とはいいませんです。
Mac のフィルターって Linux に使えないの?
この質問に答えてないのはなんだなーと思うんですが、紙幅の都合ですかねぇ。同じ CUPS を使った印刷システムで、知ってる人は知ってるけど PDF をスプールデータ形式として採用。なんだ Ubuntu の PDF Print Path と同じじゃないか。じゃあ何で使えないの?
……正解は、「使えるように作れば使えるよ」です。
ただし、たいていは使えません。
なんでかっていうと、Mac OS X は PDF のレンダリングに必要なサービスを OS が提供しているから、それを使っているフィルターの実装が圧倒的に多いからです。
CUPS Raster という形式を使うこともできて、これを使えば Linux との共有も可能になるんですが、これは古い Mac OS X だとダメとか、いろいろあるみたいで、採用してないところも多いんじゃないかな。
あとオープンソースのプリンタドライバ Gutenprint (Linux の多くのディストリビューションや Solaris 系 OS では標準でインストールされてます) は Mac でも動くんですが、当然、標準搭載ってことはありませんわな。
まあ、ぼくが個人的に調べた範囲でして、ぼくは宗教上の理由で Apple 製品は買えないので、もしかしたら今は事情が変わってるかもしれませんが。
「メーカーがLinuxを公式にサポート云々」の下り
なんだか前のプリンター特集で「ベンダー製ドライバーで快適印刷」って特集を組んだ雑誌とは思えない微妙な言い回しですな(^^;)。
でも実際、これってあることなんです。
具体的にどのメーカーさんがどうとかいうつもりはないですが、明らかに一瞬で直せるインストールの不具合を放置してたり、最新のディストロで動かないからって問い合わせしたら「サポート外です」って言われたりってことがあるんですよ。
やっぱりね、デスクトップ Linux って市場小さいんですよ。
つーことは投資対効果を説明するのが大変。作るのは一瞬でも、名前を冠して出すからには評価とかも必要だし、そっちのコストの方が膨大なんじゃないかと勝手に予想。
だから矢継ぎ早に出るディストロを全部評価したり、過去機種展開するなんてことはなかなかお許しが出ないんじゃないかなぁ。
だから「ベンダーがドライバーを出さないのが悪い」とか言って、ベンダーの退路を断ったりしないでくださいね。お願いします。
オープンソースで代替手段を見つけるとか、俺がドライバ書いてやるからって情報公開をお願いしてみるとか、いろいろ考えてみんなハッピーになりましょうよ。
と、この部分を読んで感じた次第。
全体として
Linux の印刷システムを理解して、モジュールの名前を押さえて、印刷できる環境に持って行くまで、という記事としては、まぁ及第点かなという気がします。ってなんだか偉そうだな。
端々言葉が足らない感があるのは紙面超過で削ったのかなーと思わせるところはありますが、ある意味説明してたら切りがないところもありますし、やむを得ないかもしれません。
印刷なんて地味な部分に関心を持つ人がどれだけいるかわからないのだけど、「Linux では印刷は鬼門」と仰る方が多いのもひしひしと感じますので、こういう記事を元に「おらももっと Linux の印刷しりたいだよー」「そうじゃそうじゃー」という人が出てくれたらハッピーでございますナ。