Document Liberation Projectについて
この記事はLibreOffice Advent Calendar 2016 12月17日の記事です*1。
LibreOfficeをホストする非営利法人The Document Foundationのもう一つのプロジェクトであるDocument Liberation Project(ドキュメント解放プロジェクト、かな?)についてはあまり日本語の情報がないと思いますので、ちょっと紹介しようかなと。今回はあくまでもあっさりした紹介です。
英語に拒否反応がない人ならこのビデオを見るのがいいかもしれません。字幕付きなのでヒアリングがダメな人(私のことだ!)でも大丈夫です。
大雑把にいうと、プロプライエタリなドキュメント形式を読み込むインポートフィルタを開発し、それを、よりオープンなドキュメント形式で保存することで、ユーザーの知的財産であるドキュメントを「解放」しようというプロジェクトです。開発されたインポートフィルタはLibreOfficeでも用いられていますし、他のプロジェクト(たとえばInkscape、Scribus、Calligra)などでも用いられます。
今日のところは、Document Liberation Projectの傘下にあるプロジェクト群を単純に列挙します。
基盤ライブラリ
ライブラリ名 | 内容 |
---|---|
librevenge | 他のすべてのライブラリの基礎となるもので、ドキュメントインタフェースと共通型を提供。またいくつかのフォーマット(プレーンテキスト、HTML、CSV、SVG)へのエクスポートも提供 |
エクスポートライブラリ
ライブラリ名 | 内容 |
---|---|
libodfgen | ODF エクスポートライブラリ |
libepubgen | EPUB エクスポートライブラリ |
librvngabw | AbiWordエクスポートライブラリ |
インポートライブラリ
ライブラリ名 | 内容 |
---|---|
libwpd | Corel WordPerfectインポートライブラリ |
libwpg | Corel WordPerfectグラフィックスインポートライブラリ |
libwps | Microsoft Worksインポートライブラリ |
libmwaw | たくさんの古いMacドキュメントインポートライブラリ |
libabw | AbiWordインポートライブラリ |
libcdr | Corel Drawインポートライブラリ |
libmspub | Microsoft Publisherインポートライブラリ |
libvisio | Microsoft Visioインポートライブラリ |
libetonyek | Apple Keynote/Pages/Numbers インポートライブラリ |
libfreehand | Aldus/Macromedia/Adobe FreeHand インポートライブラリ |
libe-book | たくさんの電子ブック用インポートライブラリ |
libpagemaker | Adobe PageMaker インポートライブラリ |
現在使われているドキュメント形式だけでなく、ちょっと懐かしい感じなものもあります。たとえばlibmwawはクラシックMacのMacWriteなどをサポートしていたり、libe-bookのサポート形式にはPalmで広く使われていた電子ブックフォーマットのPalmDocがあったりしています。
このように、すでにベンダーによって見捨てられたデータ形式であっても、Document Liberatoin Projectの成果物によってよりモダンなフォーマット(=ODF)として蘇らせることができるというのがこのプロジェクトの意義だったりします。
本日はひとまずさわりだけですが、技術的な面もご紹介できたらなーと思います。
*1:書き始めたのが25日の夜10時半であることは考えないことにしましょう。