おがさわらなるひこのオープンソースとかプログラミングとか印刷技術とか

おがさわらなるひこ @naru0ga が技術系で興味を持ったりなんだりしたことをたまーに書くブログです。最近はてなダイアリー放置しすぎて記事書くたびにはてな記法忘れるのではてなブログに移行しました。

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チェコ入院の記録など

ご無沙汰さんです。

ご存じの方はご存知ですが、今年も夏休みを取ってLibreOffice Conference 2016参加のためにチェコに行ってきました。 そして、行きの飛行機の中で発病して、到着した翌々日には病院に行き、その場で入院となって、三泊四日の入院生活を過ごして帰ってきました。

入院は9/7で退院は9/10、その足で鉄道と飛行機で9/11夜に日本に帰ってきて、9/12に病院に行って安静を命じられ、会社を3日追加で休んでお家でヒマヒマしてました。今はまあ、ちょっとまだ完全ではないですが、大分良くなりました。普通に歩けますし仕事もできます。

そんな内容を、9/17の小江戸らぐ #koedolug で発表してきたらまあまあ好評?だったので、せっかくだからまとめることにしました。発表資料はこちら↓。

といっても発表資料に概ね書いてしまったので、まあ雑多な落穂ひろい。あとめっちゃ長いので、お時間がない方は上の資料だけを読むことを推奨。

現地到着まで

今回のチェコ行きはフライトの都合で日曜9/4夜発、成田発イスタンブール乗り換えウィーン行きになったので、土曜日9/3は小江戸らぐの会津若松合宿に参加して、翌日朝の新幹線で都内に戻り、知人とランチ後、佐倉の実家で晩ごはんを食べてから飛行機に乗るというやや強行スケジュールになったのですが、まあ、飛行機乗れば寝るだけだからなんとかなるだろうと思いつつ。

飛んですぐにビールもらって夕食食べて寝たのですが、Tシャツ短パンという格好でいたら、歯の根が合わないぐらい寒くて2時間ぐらいで目が覚めました。おっかしーな普段は普通に寝てられるんだけど……と思いつつ荷物入れから鞄を出してきて一枚羽織ったんですけど、他の人の荷物が倒れこんできてしまって荷物を戻せなくなったので、足元にむりくり鞄を押し込んで寝ることに。おかげでちょっと寝る姿勢が窮屈に。

で、なんとか寝て、再び起きたら、ん、なんだか左脛が痛いぞ。足元が狭苦しいから、ひねったりしたかなあ、とか思ったり。全体的に体調も良くないけどこれはさっきやたら寒かったので風邪ひいたかしら、よくないなー。とか考えながら、朝食は食欲がなくてパンを残しておかずだけ食べたりして。食べ物を残すのは私にとってはものすごく珍しいです。

イスタンブールについたのは9/5(月)の朝4時ぐらいで、ウィーンへのフライトは8時。足も痛かったんだけど熱っぽくてだるくてソッチのほうが辛かった。ウィーンまで2時間半のフライトでも機内食出たのだけどこれは三口ぐらい食べたところでギブアップ。ひたすら寝てました。

ウィーンから鉄道でLibreOffice Conferenceにあるブルノまで移動中も爆睡していて記憶がなく、ようやっと現地についてAirBnBで確保した宿に向かうもトラム(市電)逆方向に乗ってしまって、お金ケチって歩いて戻ろうとしたら道に迷ったりとか、しかもチケットのパンチ(乗った時間を記録するために乗り込んだときに時間を刻印する)するの知らなくて警察に捕まって罰金取られた上に尋問中に降りる駅通過しちゃってひと駅余計に連れてかれたりとか、フラフラになりながら途中でドラッグストアを見つけて解熱剤をゲットし、16時ぐらいに宿について、「ごめん、風邪引いたっぽいから今日はもう寝る」と早々に寝ました。ランチ食べてないけど、もうそれどころではなかった。

夜9時半ごろに起きたらホストが声かけてくれて、「調子はどう? 晩ごはんなにか作ろうか?」って言ってくれて、食欲はなかったんだけど食べたほうがいいよなーって思って「ありがとう、お願いします」って言って、チキンをカレー味に煮たやつをご飯に載せたものを出してもらったんだけど、美味しいなーと思いつつ三口から先入っていかない。体調が相当悪いときでも食欲が落ちない自分的には、これは異常事態だ。うーん、きっと風邪と時差ボケがごっちゃになったものに違いない、薬飲んで暖かくして寝れば治る、きっとそうだ、と思い込んで寝ることにしました。海外旅行保険みたいなの入ってなかったので、病院行くって選択肢はこのころはなかった。

コミュニティデーで多くの人に心配されるの巻

さて翌日9/6(火)まだ熱っぽい感じはあるんだけど、それより左脛の痛みが増している。というかパンパンに腫れてるよこれ。ベッドから足を下ろすと痛い……というか、血流が左脛に下がると痛むんだな。だんだん馴染んできて平気になるので、歩けなくはないんだけど。右脚より左脚がふたまわりぐらい大きくなってる。なんじゃこりゃ。それと昨日は気づかなかったけど、左脚の太もも付け根も少し痛む。まあこっちは大したことないけど……。
冷やすと気持ちいいなーということで、シャワーで左脚に水をぶっかけ、タオルを湿らせて左脚に乗せてたりしたけど、そう簡単にはよくならない。でもまあ、歩けない痛さじゃないし、痛いだけだから死にはせんだろう。具合悪そうにしてた私を心配してくれたホストがおかゆ作ってくれてこれがすごく美味しくて、久しぶりにちゃんとご飯食べられたし、とりあえず会場に行こうと出かけることにしました。

この日はまだLibreOffice Conference会期前なのですが、コミュニティデーということで「ネイティブ言語チームフリーディスカッション」「開発者向けハックタイム」が午後から用意されていました。私は前者に参加することに。しんどいなーと思いつつ会場のブルノ工科大学情報工学キャンパスへ。ランチは食欲ないのでパス。途中でコーラ買って飲んだけど、なんか味がしない気がするぞ、チェコのコーラは成分が違うのか? などと思いつつ。

関係ないけどステキな会場でしょ?

去年のカンファレンスで会った、台湾コミュニティで活躍するFranklin Wengに会ったら

「その足どうしたんだよ一体?」
「いや、よくわかんないけど、痛いんだよ、飛行機乗ってたらなんだか痛くなってきて」
「医者には行ったのか?」
「行ってないけど、大丈夫じゃないかな、痛いだけだし」
「急に痛くなるってことは、痛風とかじゃない? 放っておかない方がいいんじゃないのか?」
「いや、痛風は症状が違うと思うんだけど……」

などといいつつ、ネイティブ言語チームのディスカッションに参加。調子よくないながらも日本の立場とか少し説明できてよかった。

そして学内のカフェでのウェルカムパーティへ。ビールはやめといたほうがいいよなーと弱気に炭酸水などをもらう。そして食べ物もなんかそそられず、フルーツだけを食べる。ぶどうが美味しい。

ダラダラくっちゃべってたらThe Document Foundation(TDF)の秘書役であるSophieがやってきて

「具合悪いって聞いたんだけど大丈夫? 今すぐ病院行く?」

って聞かれたので、

「いや、たぶん気分がよくないのは時差ボケだし、足は単に痛いだけだし我慢できるし大丈夫だと思う。明日になって悪くなってたら考えるかも、ありがとう」

って言って、でも具合も良くないのでパーティは早々に切り上げて、榎さんに付き合ってもらいつつ帰ることに。帰る道道

「どうしたんでしょうねー」
「んー足は単にひねっただけで、体調が悪いのは時差ボケと風邪かなって思ってたんだけど」
「単にひねっただけだったらそんなに腫れないでしょう」
「そうかしら」
「腫れてるんじゃなくてむくんで痛みが出てるとか? 太ももの付け根も痛いってことは血栓ができてるとか」
「いわゆるエコノミー症候群か」
「そうそう」
「それは怖いなー。んーとにかく明日まで様子見て、良くなる気配がなかったら病院行ってみるよ」

なんて話をしつつ帰りました。

宿に帰ってベッドに寝転がって、スマートフォンでエコノミー症候群の検索して、血栓が壊れて欠片が肺とかに入ると死ぬって書いてあって、さすがにカンファレンスの最中にAirBnBの一室で死んだら色んな人に迷惑だなー、それはやだなーとか思いつつ寝ました。ヘンに色々考えてしまいあまり寝られなかった。

激痛との戦い……そして入院へ

開けて9/7(水)の朝。2時間ぐらいは寝たのかなー。とりあえず起きよう。と、ベッドから降りようと思い足を下ろすと激痛が。痛い。痛い。いたいいたいいたい。頭真っ白になるぐらい痛い。

冷や汗をかきつつしばらく辛抱してると馴染んでくるので、今度は体を起こすと痛い。痛い→麻痺してくる→次の姿勢、と繰り返して、やっとこ立ち上がってトイレ行って、さてどうしたもんかねこれ。お医者さん好きじゃない自分も、さすがに病院行ったほうがいい気がしてきました。

うーん。地力で救急車呼ぶ? ルームホストに相談する? カンファレンスのローカルスタッフに相談する?

考えた末、ローカルスタッフに相談するのがいいんじゃないかと思いました。それなりに人数もいるし、いい知恵持ってるかもしれないなと。で、後から考えるとメールなりチャットなりで相談してもよかったんじゃないかという気もしますが、そのときは、相談するためにはまずはカンファレンスに行こう、と思ったんですね。

ので、冷や汗たらしながらカンファレンス会場まで行きました。せっかくなので、基調講演の「State of the Project」だけ聞いて。聞きつつ、カンファレンス用のIRCに:

「ごめん、調子悪いんで病院行きたいんだけど、自分で救急車呼んだほうがいい? それとも誰か助けてくれる?」

と書き込み。

講演終わって休み時間になったところで、「俺とにかく病院いくわ」と日本からの参加メンバーに伝えて、必死の思いで立ち上がったら、前述のSophieが、Jiriという名前のRed Hatチェコ所属のローカルスタッフを連れて飛んできてくれて、「今からJiriがクルマで病院連れて行くから」って。症状を伝えて、もしかしたらエコノミー症候群かも、って言ったら調べてくれて、第1の病院につれていってくれました。もう一人、Tomasというスタッフも一緒についてきてくれて、チェコ語とぼくのへっぽこな英語を通訳してくれるとか。ありがたい(T_T)

最初の病院は「ウチ外科なんだけど、まあエコーは取れるから」みたいなことを言っていたらしい。Tomas経由で英語で説明はうけたものの、こっちは痛いし頭ぼーっとしてるし英語聞き取れる状態じゃないんですよね。でもTomasはすごい丁寧に説明してくれました。やたらとミニスカがセクシーなお医者さん? 検査技師さん?にエコーを取ってもらって、「ん、大丈夫、問題ないね。別の病院行きな」と紹介してくれたらしい。

気になるのはお値段。無保険でエコーなんて取ったらさぞかし高いんじゃないのってドキドキしてたら、「1800コルナ」って、へ? 8000円もしないの? ちょっと一安心。安心したのでTomasに:

痛みの理由がわかんないのは不安だけど、血栓がいきなり肺に入って死ぬって心配はないって保証は得られたから、少しホッとしたよ

って言ったら、「死ぬなんて悪い冗談はよせ」って怒られました。ごめんごめん。

そしてブルノの市街を挟んで反対にある別の病院へ。The University Hospital Brno って名前の通り大きな大学病院だったけど、このときは周りを見渡す余裕などなく。

診察してくれたドクターは英語分かったみたいだけど、こっちがタダでさえ英語苦手な上に医療用語はさっぱりで、あとぼーっとしてたので、その場では理解したつもりでうんうんって聞いてても、後から何をいわれたのか思い出せない(日本語で記憶してる上に、間違えて覚えてる)という体たらくでした。分かったことは、単に腫れてるだけで熱があるのもそれが理由だけど、症状はひどいので病院来たのが正解、入院しましょう、ってこと。

入院には20000コルナ(約8万円)のディポジットを現金で支払う必要があるらしいんだけどそんな大金を当然持ってるわけがなく。Tomasとドクターが色々話をして、今この場で入院すればディポジットは不要、入院契約で、20000コルナ以上のお金は取らないよって書類にサインすれば大丈夫、最後の支払いはカードでも大丈夫、とのこと。この場で入院するでいいね、ってことになった。そんなわけでいくつかの書類にサインして、車椅子に乗せられて病室に連れてかれて、パジャマに着替えて鎮痛剤打たれて採血されて点滴用の針刺されて、ベッドに寝かされて、脱水症状気味だから水分取れってお茶出されてソレを飲んで、って感じ。

これが15時ぐらいだったかなー。Tomasは昼飯も食わず、ずーっとぼくに付き添ってくれたんだよね。ありがたやありがたや。「荷物取ってくるから部屋の場所を教えて、あと鍵も貸して」ということで託して、などとやっていたら携帯がバッテリーがお亡くなりに。鞄からPCを出してみたらかろうじてバッテリーはまだあって、Wi-Fiが飛んでたので、それを捕まえると、日本からの参加メンバーに、Sophieと、TDFのリーダーFlorianで作ってもらったFacebookのグループチャットに「入院することになったよー」とメッセージ投げてベッドに倒れる。

うつらうつらしてたらTomasとJiriが戻ってきて、「荷物取ってきたよ! 一旦カンファレンスに戻るから、なんか困ったことがあったら連絡してくれよな」とのことで、語彙がないのを恨みつつひたすらサンキューを連呼してこの日はさようなら。で、枕元に電源があったので鞄からアダプターを出して、携帯充電して。点滴終わったらナースコールしろっていわれてたので、コールして変えてもらったりして。

鎮痛剤が効いてきたのと水分多めに取ったおかげでだいぶ楽になって、あとは平和ながらも退屈な入院生活に。

病名とか治療内容とか

正直よくわかんないです。説明受けたんだと思うんだけど、前述のようにその場では分かったつもりでも、あとになってみると思い出せなかったり、他のことと記憶が混同したりしてて。BとVの発音が仕分けられない・聞き分けられない私は、どうやら「バクテリア起因の……」とドクターが言っていたのを、「ビールス起因」と思い込んでたりしたみたいだし。私みたいに英語あんまりできない奴は、ドクターとの会話はメモ取るなりしてちゃんと記録残したほうがいいと思います。

さすがに何度も聞いたので、鎮痛剤(painkiller)と抗生物質(antibiotics)は覚えたけど。

あとで書いてもらった書類を見るとerysipelasって書いてあって、ググると日本語だと「丹毒」ってあった(ググるとあんまり見た目うるわしくない写真出てくるのでおすすめしない)*1。傷口から雑菌が入って腫れて熱を持ったりなんだりする病気らしく。抗生物質を点滴で投与しつつ、痛みがひどいようなら鎮痛剤で抑えるという感じでしたが、入院二日目からは痛みは我慢できる程度におちついたので、鎮痛剤いるか? という問いには、大丈夫、って答えてました。けど昼間は明らかに痛みは軽かったので、何らかのものは投与されてたんじゃないかな。と、思う。

一日一回、お腹にぷしゅっと注射されてたけど、あれは多分血栓ができるのを防止するためだと思う。そんなことを言ってた気がする。

なにせどういう治療をするかってことを理解できてないので、点滴が終わっても、次の点滴がされないのは意図的なのか、忘れられてるのか判断がつかず、チェコ語わからないので聞くこともできないので、随分気を揉みました。Google翻訳をうまく使えばよかったのかなー。

入院生活

寝室はベッド三つあって、同室には私よりもかなり歳上な方が二人いました。英語はまったくわからないようで、こちらもチェコ語は(カンファレンス参加するだけだしな)と思って勉強してこなかったので、挨拶すらまともにできなかったのは申し訳なかった。

看護師さんは概ね親切でしたが、これまた英語全然通じなくて、ありがとうぐらいチェコ語で言おう!と思ってあんちょこ作って頑張ったんだけど、なかなかとっさに口から出てこず……なんか悔しい。

トイレが病室内にあったのは、足が痛くて歩きたくなかった自分としては助かった。こちとら入院なんか日本でもしたことないので、点滴途中にトイレ行きたくなったときってどうすればよいのかわからず、頑張って点滴をぶら下げてる柱ごと持ち込んでましたが、あれは看護師さんに聞けばよかったんだろうな。

食事は、多分調理師さんが来て食事を作ってくれるのは昼だけみたいでした。朝食7時半ごろ、昼食12時ごろ、夕食18時ごろかな。

  • 朝: あきらかにインスタントのコーヒー、コッペパンみたいなの、バター、パテかヨーグルト、りんご(丸かじり)
  • 昼: 2食しか食べてないのでなんとも分からないけど、スープひと皿、メインひと皿が基本かな。メインはひき肉を小麦粉でくるんだ奴にホワイトソースかけてあったり、野菜を煮込んだソースがかかったチキンに潰したポテトが和えてあったり。割とお腹は膨れました。味はまあまあでしたが、一概に塩辛かったです。
  • 夜: 食パンになにか挟むもの(スライスチーズ、ミートパテ、マヨネーズで和えた卵)、生のパプリカ(丸かじり)。

スプーン・フォーク・ナイフは最初に貸与されて、それを自分でキープしておく(食べ終わったら自分で水道で洗う)のが新鮮でした。

消灯は明確に決まってたのかどうか知らないですが、同室の患者さんたちは晩ごはんを食べ終わるととっとと寝てしまい、9時頃にトイレに起きるとだまって部屋の電気を消してしまうので、私だけ起きてるわけにもいかず、といってもそんな早くには寝られず、いつも苦労してました。

そして朝は時差ボケもあって5時には起きてしまうのですが、みんな7時までは布団にくるまっているので明かりをつけるのも気がひけて、外が明るくなる6時半ごろまでは、頭から布団を被って携帯いじってました。足痛い以外は元気なので、基本的にはヒマを持て余していました。

院内は入院患者用と思しきWi-Fiが飛んでて、ベッドで電源も取れたので、私みたいな人間にはだいぶ助かりました。食事用のテーブルはもちろん事務仕事にも使えるんだと思いますが、なにせ足を下ろしてると痛いし治りも悪いよって脅されて、そんなわけでPCは使いにくいので、結局携帯片手にベッドでゴロゴロするしかできず。退屈でしたねー。話し相手もいないし。

シャワーもなー、言えば浴びさせてもらえたのかもしれないけど、どう言ってよいかわからないので、水道で頭を洗うだけでした。うーん気持よくない。

びっくりしたのは、点滴の液とかちょっとしたもの、床にぴゅっと撒いちゃうこと。入院生活初日とか、まだ慣れてなくて点滴入れてる方に力を入れてしまって、点滴のパイプのコネクタのところまで血が逆流しちゃったりしたことがあるんだけど、そのときも、血が混じった点滴液をそこら辺にぴゅっと捨ててた。最初受けのバケツとかあるのかなと思ったらないのね。そのときにシーツに跳ね飛んだりしたけど、慌てる様子もなく。その代わり、床掃除は一日に何度も来てました。

シーツ交換は二日にいっぺん、枕と布団は毎日、着替えも毎日もらえたので、不潔という感じはもちろんなかったです。当たり前といえばそうですが。

退院についてのドタバタ

入院した翌日の朝の回診、つまり9/8(木)にドクターが回診に来た。

「今の状況を考えると、週末は病院で過ごしてもらって、月曜日に検査、その結果で火曜日退院とかかなー」
「うーん、でも、私、次の土曜日に日本行きのフライト取っちゃってるんですよ」
「土曜日の飛行機に乗るってことは、週末は退院できないから、退院日は明日の金曜ってことになるぞ。それはあり得ないよ」
「どうしてもっていうなら帰国便動かすことも考えるけど……できれば予定通りに帰りたい。絶対無理?」
「しかたないな、じゃあ今日血液検査をして、その結果が悪かったらダメだ。結果が良かったら、そのときに検討しよう」
「ありがとう、助かるよ」

てな感じ。

飛行機がFIXだったってのもあるし、仕事休みたくないってこともあったし、あとやっぱり言葉の不安があるチェコで逗留するより、日本に帰って治療を受けたいって気持ちがあったんだよね。でも、確かに無理いうな、っていうドクターの立場も分かる。

で、その日の回診後に採血受けて、翌9/9(金)の回診。

「結果だけど、思ってたより経過は良好みたいだ。だから、明日の朝まで治療をうけて、明日土曜日に退院できるよ、最善ではないけれども」
「ホント? 退院明日でも大丈夫なの?」
「うん、必要な事務手続きさえ今日済ませておけば、退院は明日でも大丈夫だ」
「必要な手続きって? 支払いとかのこと?」
「支払いに必要な書類をまず私が作る必要がある。それができたら、支払いは好きなときに行ってもらって構わない」
「じゃあ支払いはともかくとして、明日午前中には退院できるということ?」
「そう。薬を出すから、それを指定時間おきに飲んでもらう。あと、日本に帰ったらすぐに医者に行くこと。紹介状書くから」
「ありがとう、助かるよ」

てな会話をして、前述のFacebookチャットに「明日退院できそうだよ」ってメッセージを出したら、

「まって、JiriとTomasが昨日ドクターと話したら、明日の退院は手続き的にできないっていってたよ」
「おかしいな、できるって言ってたと思ったけど、私誤解してたかしら」
「うーん、Tomasに頼んでドクターに電話してもらうから、その結果を待ってて」
「ありがとう、お願いできると嬉しい」

という展開になり、その後しばらくしてメッセージが来て、

「やっぱり、ドクターが書類を作成したら、それを持って今日中に支払い処理は終わらせないといけないんだって」
「あ、そうなの、明日支払いもできるみたいにいってたけど、違うんだ」
「支払い処理も英語だと難しいから、Jiriが書類ができる頃を見計らって行くって」
「え、マジ、それはすごい助かるけど……」
「気にしないで、待ってて」

ということで、わざわざ支払いのために来てもらって、支払い処理のアレコレをチェコ語から英語に通訳してもらったのでした。あー、ありがとうよJiri……。

なお支払金額は約12000コルナ。日本円にして50000円ぐらい。無保険で3泊4日した入院費用にしては破格に安くない? やっぱ旧共産圏だからなのかなあ。エコーも安かったしね。

日本の健保が7割負担してくれるみたいなんだけど、独自のフォームに記入しないとダメとか言ってんだよねーめんどくせーってついこぼしたりしたら、「あ、じゃあ後でドクターに頼んでみようよ、印刷とかしてくれるかもしれないからさ」って、一緒に話をしてもらった。お陰で書類ももらえた上に、

「明日は不在だけど、これからの投薬指示とかは作っておいて、明日の担当医に言っておくから。朝、最後の点滴と注射が終わって、朝ごはん食べたら最後にガイダンスをして、退院できるようにしておく」

というところまで言質を取って、「自分はもう帰るけど、なんかあったら電話してくれよな」とメモを残してJiriは帰って行きました。ああ、なんてありがたいんだ(T_T)。自分がどれだけJiriとTomasに感謝しているかを表現できる英語力がなくて、とても残念。

明けて退院日の9/10(土)。朝ごはん前に初対面の女性のドクターが来て、「あなたがNaruhikoね。話は聞いてるから、朝ごはんが終わったら退院の説明しますね、9時頃かな」といって、握手をして去っていったです。

が。回診に来たのはまた別のドクター。退院のことなんか一言も触れず「昨日異常はなかったか?」としか言わないので、「あ、はい……」しか言えず。その後、待てど暮らせど「また後で」とさっき言ったドクターは来ない……。

10時を過ぎて、さすがにおかしいだろうと思いナースコールして、「今日退院のハズなんだけど」とGoogle翻訳で見せても、どうもピンとこない。「英語喋れる人いないの? ドクターとか」って聞いてみたら、「今この病棟にドクターはいないよ」とな。マジかよ。えー。

と、困っていたら、入院患者さんのなかから英語ができる人を探して連れて来てくれた。おお、そんな手が。ということでそのMr.Xに通訳してもらいつつ:

「今日退院ってことになってるんだけど……」
「でもドクターいないし、私たちはなんにも聞いてない」
「マジですか。支払いは昨日終わってるので、あとはお薬もらって、投薬指示とか書いた書類をもらえるって話になってるんだけど」
「ああ、それは用意してある。持ってくればいいのね?」
「お願い!」

ということで、お薬持ってきてもらって、書類ももらって、点滴の針抜いてもらって、ようやっと退院となりました。あー焦った。びっくりした。

動転してたんで名前とか連絡先とか聞きそびれたんだけど、Mr.X、ありがとう! 超助かった!

ということで無事退院。お世話になりましたー!

帰国の道のり

退院してしまえばこっちのものなので、駅まで出て榎さんと合流してランチを食べ、鉄道に乗ってウィーンに移動、そこから空港までたどり着きました。

しかし歩くとさすがに痛い。水曜日よりかはだいぶラクにはなったとはいえ。これは足が伸ばせる席に変えてもらうなりお願いできるのでは。と思って、ターキッシュ・エアラインズのチェックインカウンターにて相談。

「すみません、これからイスタンブール経由で成田まで飛行機取ってあるんだけど、実は病気してて」
「どんな病気?」
「左足腫れちゃって(見せる)、痛くて、足を高くに上げておきたいんで、できれば隣のシートとか使える席に変えて欲しくて」
「えっ、それ大丈夫なの? 診断書見せてください」
「待ってね、……これですね」
「えっと、これ診断内容とかチェコ語でしか書いてないから、あなたを飛行機に乗せていいんだか判断ができない」
「(マジカヨ……マジだ)えーと、病名だけならこっちの書類に英語で書いてあるはず」
「病名だけでは……ちょっと待って」
「私も専門じゃないけど、ドクターはこの病気は伝染性はないし、飛行機に乗るのも問題ないって言ってた」
「分かった、問い合わせてみる」

みたいな感じでしばらく待たされて、色んな人が出てきて同じ説明をしたりしたけど、最終的には飛行機乗るのもOK、イスタンブールまでは空いてる後ろの座席に座らせてあげる、ということになった。イスタンブール・成田間は満席なので無理だから頑張ってね、と。でもイスタンブールまでの2時間半だけでも足伸ばせたのは助かった。ありがとー。

イスタンブールの空港内で車椅子用意しようか?」とも言ってくれたんだけど、歩けるし大丈夫だよ、って断ってしまった。ただイスタンブールの空港やたらめったら広いんで、お言葉に甘えればよかったかなーってあとでちょっと思った。

あと、もうひとつ懸念。もらってた薬の中に注射が2本あった。血液さらさらにするお薬らしいんだけど、これを最後に注射したときから24時間おきに1本ずつ自分で注射しろと。計算してみると、1本はどうやっても機内でうたないといけない(さらに24時間後は日本でお医者様に見てもらえるので不要)。でも注射って機内持ち込みできるんかいな。

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まあできないと言われたらその場で1本打っちゃえばいいかーと思いつつ保安検査で「これ持ち込んでいいの?」って聞いたらあっさり「いいよ」って言ってもらえたので持ち込みは普通にできた。よかった。

問題は私自身が自分で注射したことなんてないってことだな。金属針の注射を自分でやるってのは緊張します。病院でやってもらったときはお腹の肉をかき寄せてぷしゅってやってたので、機内のトイレで見様見真似でやりました。お腹の肉余っててよかった?

あと、帰りの機内では血栓ができないように足をずっと動かしてなさいという指示をもらってたのでした。言われなくても黙って座ってると足がどんどん膨らんできてつらいので、時折歩いたり、床に座り込んで足をさすったり。って、床に座ってるのは邪魔だからやめてくれ、って客室乗務員さんに怒られちゃったので、いろいろ試した結果、トイレの着替え台を出してその上に座って、洗面台に足を乗せるのが一番楽ということがわかり、2時間に1回ぐらいの割合で5分ほどトイレに篭もることに。そんなことやってたので機内でぜんぜん寝られなかったのが辛かった(2時間ぐらいは仮眠したけど)。

などとやってるうちになんとか成田着〜〜〜。9/11(日)夜7時ぐらいかな。

あーくたびれたって空港のベンチに足乗っけてマッサージしてたら、もう日本だって油断だろうな、ふくらはぎに傷を入れてしまい膿がどばどばと出てしまった。慌ててトイレ行ってハンカチ湿らせて、汚れちゃったベンチや足をささっと拭いたりなんだり。周りで見てた人はちょっと気持ち悪かったと思う。ごめんなさい。このときの傷は1週間経った今日9/19(月)でもまだでっかいかさぶたになってて少し痛いです。くっそう。これがなければもうちょっと治り早かったんだろうけどなあ。

ともかく電車乗って実家最寄り駅に移動して、駅からはタクろうか悩んだ末歩いて実家に帰り、シャワー浴びて寝ました。おつかれさまでした。ばたり。

帰国後

9/11(月)は会社に追加でお休みをいただいて、入院中に国際電話で予約を取った皮膚科に行きました。通いやすいようにとアパート・会社の近所を予約したので、まずはそこまで行かねばならんのです。が、長時間の飛行機と、最後の最後で傷を入れてしまった関係か、痛みが完全にぶり返してしまい歩くのがつらい。うぐぐ。ということで、家までタクシー呼んで、駅まで行ってもらって、電車で移動したのでした。

日本での診察結果も結局同じ内容で、雑菌が入って化膿してるんだと。「こんなんでよく帰ってこれたよね」だって。しばらくは在宅安静、それが無理なら入院を命ぜられ、ひたすら足上げて冷やして抗生物質と鎮痛剤を毎食後飲みなさいと。まー何にせよ、日本語で診察受けられるって楽でいいなあとそれを噛みしめておりました。

んで、痛い足を引きずって食べ物とか買い出しして、部屋に篭っておとなしくしてたお陰で、水曜日には「だいぶよくなってるね、これなら足さえ上げていられるなら、仕事とかしてても大丈夫だよ」ということになって、木曜日から職場復帰しております。ありがたやありがたや。

今9/19朝現在では、寝てる状態から立ち上がると一瞬脚が痛いかなってのと、ずっと立ってたリ脛をおろして座ってたりすると少しシクシクするなあってぐらいで、歩くのもまあ普通のスピードで歩けるようになり、だいぶ楽ちんです。まだ腫れがあるので、お酒は我慢してますが……。早くよくなるといいなー。

最後に

もちろんカンファレンスろくに出られなかったこともチェコビール一滴も飲めなかったことも残念なんだけど、ソレ以上に色んな人の好意が身にしみた日々でした。自分的には、海外での入院なんて経験は願ってもなかなかできないので、いい経験できたなー、しばらくはネタに困らないなー、とか思って、自分はこのシチュエーションを楽しめてると思ってたんですが:

「ゆっくり休養してね、我々はみんな、君もこのカンファレンスの参加者だと思ってるから!」

みたいなことを言われたら、なんかこう泣けてきてですね……布団被って泣いてましたよ。もう45のおっさんがベッドでしくしく泣いてるのもみっともいい話じゃないのにね。あー、思い出したらまた涙が出てきた。

そんなわけで意外と弱ってたみたいなので、みんなの親切がとにかくありがたかったです。LibreOfficeのコミュニティのアットホームさはとてもステキで、あーいろいろあるけど、この人たちのためならもちょっと頑張ってみようかなーという気になりました。コミュニティが温かいのはLibreOfficeだけじゃないよ、ということなのかもしれないけど、少なくとも私にとってはね。

ドクターや看護師さんにも感謝。無理言って退院させてもらえたのは処置が的確で経過が良好だったからだろうし、おかげで最後にはほんのちょっとだけどブルノ観光もできたしね。

いい街だったなー。今度はチェコビール飲みに来たいです。

長々とどうもでした。では!

*1:2016.10.7追記 まったく今更だけど、丹毒じゃなくて「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」らしいです。字面が強そう。