2010年の振り返りと2011年のやりたいこと
ま、そういう肩肘張ったことは嫌いなんだけどね、めんどっちいから。
でもまぁ一応書いておきましょ。
2010年の振り返り
全体的に可もなく不可もなくといった感じではありますな。まあ、休職二回した去年に比べるとやや回復傾向にあるけど、……というところ? チョコチョコカヤックのツアーにも行けたし、全部ではないけどやりたいこともいくつかできたし、まあよかったかなと。
仕事関係
これはあんまり書いてもしょうがないのだけど、業務としてオープンソース関係に携わりたいという欲求は果たせていない。というか、mainstream な仕事をやるな、と言われているのでこれはもうどうしようもない。
誤解されると困るのは、ぼくは日本の周辺機器ベンダーという立場でオープンソースにコミットすることによって社会になにか(きっといい方向の)変化をもたらすことが目的なのであって、オープンソースでゴハンを食うことは別に目的じゃない。だから「オープンソースで仕事したいだけなら会社出ればいいじゃない」というのはあたらないのです。会社出るならもうITとは全然関係ない生活したいよあたしゃ。
んでまぁ、やるなと言われてるからやりません、というのもつまらないので、いろんな人といろいろ意見交換したりなんだりして、こういうアイディアどうです? とか、こういうことをやりたいときに必要なものってなんでしょうね? みたいな討論したり、こそこそ活動して、そういう活動をしている私を見て、逆にこういうことを考えてるんだけど世の中的に見てどう? って聞いてくれる人もいたりして、ようやっと少しずつ歯車が回ってきたかなぁと。
つまらないスタッフワークばかりやっていた中で、最近ちょっと活動的に動くようなことも出てきたので(顧客にサービスを提供するという意味のビジネスではないけどね)、あともうひと頑張りかなと思う。
オープンソース
今年だったっけな。
途中で自分のやってることが、コミュニティの役に立っているのかどうなのか自信が大きくぐらついたのは。
外野でガチャガチャやるのは、却って中の人の負荷を増やしてるんじゃないかとそういう気持ちが大きくなって、自分のやってることが全部無価値を通り越して害悪に見えてきてかなり凹んだりしたなあ。
まあ、今でもそういう認識は変わらないんだけど、それでもゼロよりはイチでありつづけたいなーと思って、中の人の負荷も考えながら、でも外野としてゴニョゴニョやろうかなって気がしている。
そんな中でこれはまあよかったかな、と思えるのは、openSUSE Weekly News の日本語翻訳 (以下 OWN-ja) に関するあれこれと、LinuxCon Japan と、あともう一個かな。
OWN-ja についてはまず、続けていることが一番自分の中で大きい。
そりゃあね、それが社会をどれだけ変えているのかといわれるとそこは分かんないんだけど、やってて楽しいしね、ぼくは openSUSE のユーザーじゃないからユーザーとしての活動は全然してないんだけど、それでも mainstream の議論をおっかけることができるのは、なかなかに面白い。
こういってはなんだけど openSUSE ってプロジェクト自体決して上手く回っているとは思えないので、それを何とかしようと侃々諤々やってるさまを外野としてみるのが楽しい。って私酷いヤツですね……でもだからこそ、Project Tumbleweed っていうバージョンレスな分岐を作ろうって動きが出たり、Project Evergreen っていう LTS を作ろうって活動が出てくる、それが見えるのが面白いよね。
LinuxCon Japan はね、やっぱり商売っけのあるイベントなので、色々あるんだけど、でもあれだけ世界からスゴイ連中が集まる機会ってないからね、そこはやっぱり面白い。
前にも書いたけどぼくは James Bottomley に「Linux Graphics Essay を書いてくれてありがとう」と言えただけでも満足だったのに、その日に晩飯一緒にくおうぜ、って言ってくれたのはさらに嬉しかった。
もう一個は……ノーコメント。でも、まぁまぁ好評なようでほっとしました。
おっと、riverlinux という冗談プロジェクトを立ち上げたのを忘れてた。
今年はアウトドアアクティビティの方でぎりぎりつなげてたので、来年はちゃんと linux についてなんかやろう……。
勉強会、コミュニティなど
勉強会については、もうなんだか疲れてしまったというのが正直なところ。
プライベートな時間を注ぎ込んで1年半かけて Haskell のコンパイラ1本書いてみましたとか、黙々と翻訳をしたり黙々とバグつぶししたりしてる人の姿とかを見ると、勉強会コレクター的に色々顔を出したりしているけど、どれもモノになってない自分がホントーにイヤになったわけ。
なんつかさ、そりゃいろんな出会いを求めること、いろんな知識を得ること、それは大事なんだけど、もっとインプットを絞ってなにかに集中してアウトプットをちゃんと出さないとダメなんじゃないかと、オッサンとしては(苦笑)。
あとはなんつーか自己啓発っつかさ、そういうのが辛くなってきてねぇ。
ガツガツ勉強してガツガツ自分を高めてガツガツアウトプット出して、それがエンジニアだ、さもなくば死ね、ああ死ね今すぐ死ね、そういう熱さって大事だろうけど、あたしゃーなんか、それだけがエンジニアって人生の選択肢なのは辛すぎるなと。
つまり技術力だけで、出した成果だけで人生すべてを一次元で評価するような風潮がいろんなところで見えて(勉強会だけじゃなくてね)、ああ、もうダメだ、って。
だってさ、ぼくが勉強したいことって、自分のカタログスペックを上げることにならないことばかりなんだよ。もっとこう、純粋に好奇心駆動でいたいの。役に立つとかいうのは「邪念」なの、ぼくにとっては。
だから「おまえらもっと幸せになって、世界を幸せにしようぜ」とかいうメッセージになんか引いてしまうんだなぁ。いや、いいことだとは思うんだよ、でもそのための「手段」として勉強会ってキーワードになるのに、ぼくが受け付けない、それだけ。
あとは大して能力あるわけじゃないのに、根源主義者っつかさ、やるなら根っこから抑えたい、つまり法律の勉強なら解説書読むだけじゃなくて条文読んでちゃんとした「教科書」読んで、ってしたいし、言語の型理論とかを学びたかったらやっぱり論文ぐらいは読めるレベルになりたいし、入門書で概説なぞるだけってのはヤなの。で、難しいことをやろうとして挫折する。アホやな*1。
そのうえ、やりたいことはむちゃくちゃたくさんあるのよね。ありすぎるってぐらい。
だから情報を少しは絞らないとダメだなって痛感したのが今年。
だから今年は勉強会というよりもコミュニティの方が居心地がよかった。
コミュニティだからね、勉強しなくたって、知識増えなくたっていいんだもん。好奇心の赴くままつまみ食いでいいんだから。
具体的には、イベントとしてはBarCampが一番面白かった。定期的に開催されているものとしては小江戸とTLUGとOpenSolaris勉強会。Smalltalk勉強会もそういう感じ。
後者二つは勉強会ってタイトルはついてるけど、そこに来る人がむちゃくちゃ面白いから会いに行くって要素の方が強いもんなぁ*2。
あとは小さなカジュアルな会、GPLv3逐条解説書輪読会とか、xv6話とか、そういうのは楽しい。人数少なめで、ワイガヤで議論しあう会ね。
そんなわけでなんか春ぐらいに落ち込みが来て、夏ぐらいにあーオレの居場所は勉強会コミュニティの中心部にはないんだろうなって思って、「勉強会」ってつかないところに流れていった、そんな感じかな。
2011年のやりたいこと。
なんだかものすごく長くなったので、こっちは手短に。
抱負、というとなんか肩肘張っちゃった感があってあれなので、ま、できたらいいな、のドラえもん的感覚で。
- 1月にNZにカヤック漕ぎにいってきます! わくわく!
- スキーもほどほどにやりたいな。
- Knuth 先生の The Art of Computer Programming 四巻組をつい買ってしまったので、へろへろ読もう。
- Smalltalk のおもしろさをみんなで探る会というのを結成してみた。非プログラマーにプログラミングの楽しさを知ってもらう、その入り口として使えないか。つか、その活動でちゃんとしたプログラムを書けるようになりたいね、という。
- GPLv3 も来年で完結するかな? 次になにやるかを考えておきたいね。
- xv6 はどうなるかな。これも次の展開を考えたいな。
- 最近プログラミングしてないから、WAM Tutorial をちゃんと読んで Prolog の処理系を作りたいですね。
- The Art of Community も読み切らなきゃですねえ。
- アジアのコミュニティを見に行きたいですねえ。できればプレゼンもしたいですねえ。
- riverlinux のアウトプットをなにか出したいね。αでもなんでも。
- 仕事にもそろそろ復帰したいお年頃。クライテリアは明確になったのでがんばりませう。
- まだ書けない野望もいくつか。一つでも二つでも実現できればいいな。
まとまってないけど
まーそんなわけで根暗だったり無能だったり文章が冗漫だったり無駄に暑苦しかったりするこんな人と今年一年付き合ってくれた皆さんありがとう。
来年もよろしこです。ぺこり。