第17回 GREE オープンソーステクノロジー勉強会
えー、社内で Debian を活用されるだけではなく、Debian 開発者を養成しようと熱心に活動されており、ハードウェアコントリビューションも前向きに検討されている*1と伺っている GREE 様主催のオープンソーステクノロジー勉強会に行って参りました。
まずは今回のすばらしい機会を提供していただきました GREE 様、それに講師役のやまねさん、岩松さんに感謝感謝を。
今回は三部構成+懇親会という感じでございました。
どれも非常に面白かったです。
まずはイントロ
今回のテーマは「Debian のパブリックイメージとその実態」というものでした。
ということでまずやまねさんが枕を喋って、岩松さんが Debian の開発メンバー (Debian Developer) になるための試練(笑)について話して、最後にやまねさんが締める、という構成です。
導入としては見事にハマってたと思います。
Debian Developer (DD) というのがこういう風に定義された存在だというのは恥ずかしながら始めて知りました。ハイ。
あと「Debian がホントに難しいのかぐぐる先生に聞いてみた」が笑えました。
岩松さん「New Maintainer Process について」
New Maintainer Process とは前述の Debian Developer になるための試験というかレビュープロセスで、それを岩松さんがチャレンジしたドキュメンタリー、という感じ。
ワタクシなんだか集中力に欠けていて手元にメモがほとんど残っていないのと(話が面白すぎたせいもある)、岩松さんの資料をネット上で見つけられなかったので記憶をたぐって箇条書きします。
- DD 志望者は他の DD にきちんと身分証明されていることを確認される。
- またこれまでの業績、推薦状なども書いてもらう。
- これで資格ありと認められたら、Application Manager (AM) という審査官がつく。
- AM からはメールベースで Debian Project の思想、ルールなどなどといったことから、技術面、すなわち正しくパッケージを作れるか、バグが潰せるか、BTS はきちんと使えるか、などの試験、および実技を要求される。
- たぶんこの文脈で出てきたのだと思うけど、FTBFS Bug = Fail To Build From Source Bug だそうな。
- AM との交流は非常に大変だが(時差もあるし)、AM をやるぐらいなのですごい人が多く楽しい。
- 一概に Debian Project で AM をやるような重要な仕事をしている人は非常に若いか(学生)、年配の人が多い。中堅はあまりいない。
- あとなぜかドイツ人が多い。なんででしょ?
- 岩松さんの場合は初代 AM が超多忙になっちゃって放置喰らって AM 変更ということになったので3年ぐらいかかっているが、そんなにかかっていない人も多い。
- 今 DAM (最終承認) 待ち。承認プロセスが終われば晴れて DD。
ということだそうです (聞き漏れ、記憶違いなどあれば指摘願います)。
- Q
- なんで Debian Project の中核メンバーには中間層がいないのか?
- A
- 結婚のせいじゃないですかね?(一同爆笑) あと若い人にチャンスを与えるという意味もあると思います。
- Q
- 岩松さんは当時新婚だったはずなのに睡眠時間2時間というのは夫婦仲は大丈夫でしたか?*2
- A
- もともと理解があった。あと寝る時間を同じにして、例えば12時なら12時に一緒に寝るんだけど、2時になったら体内時計が鳴ってむくりとおきて、パソコンに向かうとか。あと、ときどきケーキを買って帰ったりなども大事。
- Q
- 日本で NM Program 参加している人で学生はいますか?
- A
- いない。そもそも今の学生はソフト開発などで貢献することにあまり興味がないのかもしれない。
ふたたびやまねさん「Debian Project の開発体制の大まかな説明」
これも私が余計なノイズを入れるより資料見た方が速いでしょう。
やまねさんのブログ でもありましたが質疑応答の時間が取れなかったのは残念ですが、Debian の開発プロセス、とくに BTS を中心としたバグ・要望の回し方について後々まで参考になる資料だと思います。
雑感
- 個人的には CUPS 1.4 翻訳プロジェクトでお世話になった武藤さんと名刺交換できて非常に嬉しかったです。
- Debian は厳格だとか堅苦しいとかよく言われるけど、完全コミュニティベースで開発するというなかで自らを律するには厳格にルールを定めるしかないんじゃないかしらと部外者ながら思うのでした。
- そして営利企業の一人としてオープンソース関係の標準化活動をやっている身としては、Debian は決して「過度に」厳格ではないと感じています。これは決して、Debian JP な人たちと交流を持った身びいきではないと思います。
- 携帯ゲーム会社のサーバインフラやってる人と立ち話した。
- やっぱり就職して来た子たちは、ゲーム会社だけにゲームのコンテンツが面白くてみんなそっち行っちゃうんだって。でも実際にユーザに面白さを deployment してるのはこっちなんだぞと。すんげー面白んだぞと。この面白さをなんでわからんのだと。
- 答えて曰く、Printing も一緒だと。カーネルハックはカッコイイと思うけど、Printing なんかベンダがやればいいとみんな思ってる。だけど実際ベンダがそれぞれで実装するより、共通のものを実装してベンダがそれを使う方がよっぽど幸せで素敵な世界が広がっているはず。
- 問題は、その面白さ、楽しさ、未来の絵図を、開発力のある若い子たちに伝えられているのかということなんじゃないのか。それが多分共通する課題だと思う。
- と話していたら、id:hyoshiok さんがやってきて、そういう話でしばし盛り上がったのであった。課題認識はあるのだが、さて具体的にどうやるか。ふむむ。
- で、全然関係ないけど Polaroid PoGo 今回も大人気。へっへっへ。
懇親会も含めて楽しい時間でした。
GREE のみなさん、やまねさん、岩松さん、いろいろお話ししたりからんでくださったみなさん、ありがとうございました!
*1:と書けと何者かにいわれました。事実かは不明です。
*2:こんなの残していいのか俺? まあ ust にも残ってるからいいか。
*3:まあ Alternative な実装をできる実力はありませんし、Printing 全体を見渡してもそういうマンパワーがないことは分かるのですけどね。