GPLv3逐条解説書輪読会
割とおなじみのイベントになってきたので、さくさくっと。
イベントページはこちらでございます。IPA の OSS iPedia で公開されてる GPL v3 逐条解説書を輪読する会ね。
この日は第12条「他者の自由の放棄の禁止」、第13条「GNU Affero GPLと共に利用する場合」の二つを一気に読んだんだよな。いよいよ終盤に入ってきて、細かな補足的条文という感じになってきました。
第12条「他者の自由の放棄の禁止」
平たく言えば「他の契約なんかで GPLv3 と矛盾するものを結んでしまったら、もう GPLv3 を使うことは諦めてちょーよ」ってことですわな。
契約っていうのはライセンスもそうだし、業務委託契約なんかもそう。NDA 結んで機密情報をもとにした情報によって GPLv3 のコードを改変して再配布するとき、NDA を盾にソースコードの開示を拒否されたら、コンベイそのものを諦めなくちゃダメと。例外は認めませんよと。
面白かったのは解説の「GPLv2 との異同」(p.126) なんだけど、長くなるから省略。上記ページから資料落として読んでくだされ。
第13条「GNU Affero GPLと共に利用する場合」
これはまずは Affero GPL を知らないとどうしようもないよねえ、と思ってたら、解説にちゃんと条文が乗ってた。
すごい乱暴にいうと、「ネットサービスを提供した場合でも、そのサービスの利用者に対し、サービスのソースコード開示義務が発生する GPL の亜種」ですかね。>GNU Affero GPL
GPL においてはサーバー側でサービスを提供する場合にはソースコード開示義務がないので、こちらのほうがより厳格。
もともと Affero って会社が「ネットワークサービス時代になったらこういう条件の方がよくね?」ということで、FSF と話し合って作ったのが初代 Affero GPL。
んで、GPL v3 策定の時、最初は FSF としてはこの規定を GPL v3 に入れたかったらしいんだけど、さすがにそうすると企業ユーザーにそっぽを向かれるということで別ライセンスに分けた。それが GNU Affero GPL v3*1。
となると、この「ネットサービスの提供でもソースコード開示義務が生ずる」というのは GPL における「条件を勝手に追加しちゃダメだよ」という奴に抵触しちゃうので、GPL と Affero GPL は互換性がなくなってしまう。
つことで、「Affero と組み合わせるときだけについて、ネットサービスの提供でもソースコード開示義務が生ずる」というのがこの13条。ついでにAfferoの方には「GPLv3 とくっつけて配布することはできてライセンスが変わるわけじゃないけど、ソースコード開示義務は両方に適用されるよ」ってな内容が同じく13条に入ってます。逆に言えば、Affero GPL と通常の GPL v3 の差異はこの点しかない、そうです。