Japan Linux Conference 2009 Part I: 全体総括 & openSUSE BOF
ご無沙汰してます。(って、ここだけを楽しみにしてる人はおらんやろ……)
小江戸らぐの9月度オフの夜の部に乱入して印刷と組版について無駄に熱く語ったり、J2 で馬肉鍋をやるつもりが豚鍋になったりしましたが、しばらくここに書くようなネタは休止状態。
で、先日 9/17〜18、日本Linux協会(JLA)主催の Japan Linux Conference 2009 (JLC2009) に参加してきましたのでご報告。
今回は、
でお送りする予定です(一エントリが長すぎるとクレームが多いもんで分割いたしました)。
まず初めに
JLA事務局の松室さん、JLCプログラム委員長の風穴さん、その他スタッフのみなさん、ありがとうございました。
……が。
このイベント、いったい誰のために、なんのために行われるイベントなのでしょう?
コミュニティ初心者*1 の私がこんなことをいうのは口幅ったいですが、
- イベント自体の宣伝が絶対足りない。過去に JLA に関連したなにかをした人にしかアナウンス撒いてないんじゃ?
- だいたい当日飛び入り参加ありの LT で、外部参加者が二人とかありえねーし。
- そもそも JLA の成り立ちが企業での Linux 利用促進のようなのでコミュニティの方をあまり向いていないのかもしれないけど、
- 論文発表形式というのは、普段論文形式のドキュメントを書き慣れていない人を弾いてしまい、企業の研究員などに向けたイベントであるという印象を強くしてしまう。もっと軽く、プレゼン資料とアブストラクトで審査するといった方式にできないものか。
というところが非常に不満。
お小遣いもらっておいてなんですが(後述)、せっかくならもっとオープンなイベントにしていただきたいです。
むしろ、Linux Foundation と共催とかでよくね? とか思っちゃう。
以下時間軸とは一致しませんが重要な順から。
openSUSE Conference 東京ブランチ (モデレータ:松本悟/9/17 17:15-19:15)
ちょうどこのころドイツニュルンベルク (Novell の SUSE 部門があるところ) で openSUSE Conference というのがやってて、それに合わせていろいろ話しましょうという企画。
OpenSUSE Weekly News とコミュニティへの貢献
順序は逆ですがこっちがメインディッシュなので先にこちらから紹介します。
松本さんと私はともに openSUSE Weekly News (OWN) の翻訳チームということになっています。
なんでお前 Ubuntu のユーザーなのに OWN の翻訳なんかやってるねんと思う方、私もはっきり言ってそう思います。まあ、始めちゃったら抜けられなくなったって奴かな。それに、OWN の翻訳が始まったころには Ubuntu Weekly News (UWN) の翻訳はまだ立ち上がっていなかったし (^^;)。
ぶっちゃけた話、OWN に十分なヒューマンリソースがあるなら、OWN チームへの貢献度を落として、UWN の方を手伝いたい気持ちは非常に強いです。UWN の方が翻訳量も多いし……。
でもまてよ、オイラ OWN の翻訳手伝おうって決めたの、去年の秋か冬のカーネル読書会で松本さんが話したときじゃないか?
あのときオイラはホントに Linux 知らなかったし、SUSE 系は全然分からなかったし (業務で環境作って印刷まわり触った程度)、英語は今でもそうだけど全然できないわけでさ。
openSUSE にだって Ubuntu にだって、オイラより英語ができてそれぞれのディストロのことを熟知してる人はたくさんいるはずなのに、なんでこんなにリソースが足りないんだろ?
そう思って、opensuse-ja ML にこんなメールを投げ込みました。
この呼びかけをきっかけに一人参加してくれたけど、結局仕事が超忙しくなってしまい、なかなか思うように活動できず……。
これは多分 openSUSE / OWN に限った話ではないだろう、ということで、一種のブレインストーミング的に「コミュニティへの貢献者を増やすにはどうすればいいんだろう?」ということをざっくばらんに語ってみよう、という時間となりました。
纏めることを意識したイベントではないので記憶に残った発言を書き出すと、
- Weekly News は一週間で読み捨てられ、Wiki やリリースノートのような厳密性が求められないので翻訳の入門にちょうどいい。
- 逆にここに大きなリソースを取ってしまうともったいない。どんどんステップアップして次のステージに行ってほしい。
- コミュニティのメインストリームとコンタクトを取るには英語が必須なのでその踏み台と考えてほしい。
- マイクロソフトの今の日本語のドキュメントの大半は機械翻訳になっている。多少おかしなところはあるが意味が取れないわけではない。News のような速報性が大事なものは機械翻訳を使ってしまってよいのでは。
- ただし機械翻訳は、翻訳結果の他への流用を禁じているものがあるので注意。
- OWN を見ると、ニュース性があるもの、すぐに翻訳しなければならないものと、Tips などのそれほど急がなくてもいい物がある。その二つを区別してやり方を変えることはできないか。
- 新しい人が入ってきたときにはそれを見守るメンターが必要。ただメンターを割くことでマンパワーが足りなくなる可能性もあり難しい。
- コミュニティ側としては敷居を下げよう、下げよう、と努力をしているが、本当に敷居を下げたら人は来るのか。実際来ていない。だから敷居を下げて人が来るというのは幻想にすぎないのでは。
- 以下飲み屋トークですが、敷居を下げて来る人は結局なにもしてくれない。
- 敷居を下げるのではなく、「こっちの世界は面白い」という方がずっとずっと意義があるのではないか。
てーな内容でした。
「敷居を下げることに意味はない」
……この発言が一番効いたなぁ。
そうだよなあ、俺もラクだから OWN の翻訳やろうと思ったわけじゃないもんなあ。面白そうだし、勉強になるだろうし、と思って、気づいたら「じゃ、手伝っていいですか?」って聞いてたもんなぁ。
幻想なのか。そうなのかもしれないなぁ。
だから「これだけ面白いんだから、一緒にやろうぜ!」って語りかけをしないとだめなんだなぁ。
うーん。なるほど。
openSUSE 動向あれこれ
- openFATE という Feature Request System が立ち上がった
- openSUSE 版 CentOS?
- 最初の要求は「openSUSE のサポート短いよね、LTS 欲しくね?」という話だったらしいのだけど*3、そのうち「openSUSE と SLE は完全互換じゃない」「じゃあ openSLE を作ればいいんじゃね?」「それって RHEL と CentOS みたいな?」「そうそう」「まてまて、そもそも要求は SLE との互換性なのか、LTS なのか、open で安心に使える SUSE ベースのサーバ OS なのか、はっきりしようよ」てな議論になっているようです。英語ですがこの記事が参考になるでしょう。
- デフォルトデスクトップはどうするべきか
- openSUSE / SLE といえば伝統的に KDE という印象が強かったのですが、11.1 のインストーラでは「GNOME / KDE」の順に並んでいて、プロジェクト曰く「アルファベット順」とのことなんですが、なにも考えずに OK を連打してると GNOME になっちゃうということで一部で不評だった。ので、「デフォルトを KDE にしよう!」派がそういうリクエストを投げ、逆に「デフォルトを GNOME にしよう!」派がリクエストを投げ、とかそんなことになっているらしい。今のところは「どちらも非選択にしておいて、ただし KDE の方を選びやすくしておく」という案が有力のようですが。
- openSUSE Build Service (OBS)
ソースコードと SOURCES、あとパッチファイルを置いておけば、複数の CPU プラットフォーム (i586, i86_64, PPC) に複数のディストリビューション向けに一気にバイナリパッケージを作ってくれる仕組みです。元々 openSUSE プロジェクトで開発され、Linux Foundation に移管されました*4。Andreas Jaeger のこの記事 は LDN にある OBS 関係の記事のよいまとめになっています。このデモが行われました。
- SUSE Studio
Web を操作するだけで SUSE ベース (openSUSE、SLE、JeOS) のディストリビューションを自由に作ることができるサービスです。ベースOSを選び、レポジトリからパッケージを付け外しし、必要に応じてファイルをインポートして置き換えることもできる。このデモは非常に印象的でした。まだ未完成ではありますがopensuse-ja の Wiki にあるドキュメントが非常に参考になります。
と、Part I はここまで。
また次回。