FLOSSドキュメントの日本語化 vs 日本独自コンテンツ
みなさん、メリークリスマス*1 です :)
さてさて、Doc-ja Advent Calendarもいよいよ最終日となりました。なかなか読みでがある記事が多くて楽しかったですね。
そんな最後に、今回もまたちょっとしたネタを書こうと思います。
二つの「ローカライズ」〜ローカル言語化と地域向けコンテンツ〜
LibreOfficeにはWikiがあります。URLがちょっとわかりにくいのですが http://wiki.documentfoundation.org をトップページとするものです(我々はよくTDF Wikiと読んでます)。ここのコンテンツは基本的に英語で、例えばマーケティングのページならURLは https://wiki.documentfoundation.org/Marketing で、後ろに/jaをつけた https://wiki.documentfoundation.org/Marketing/ja は「日本語版」なわけです。
だけど、「グローバルな情報を日本語に翻訳した」情報が、「日本語話者が主に日本で利用するために欲しい」情報とイコールではないですよね。そういう理由で LibreOffice Wiki には http://wiki.documentfoundation.org/JA (通称 JA) というカテゴリーがあって、これはまさしく、日本語話者が主に日本で利用するための情報を書いているわけです。
欲しいのは日本語訳? それとも日本での情報?
LibreOfficeはいつもリソース不足に悩んでいます*2。したがって、Wikiを書いたり更新したりするときに、常に考えるわけです。「この情報はグローバルから翻訳したほうがいいのか、それとも日本語独自コンテンツにしたほうがいいのか」と。
例えばLibreOfficeの日本語UI/ヘルプの翻訳方法は、日本語チームが定めて日本語のMLで議論した日本語翻訳独自のルールその他が書いてあるページなので、ここは翻訳ではなく独自コンテンツにするべきだと(少なくとも)私は考えました。その点については合意は得られていると思います(ちょっとまだ書き足りていませんが)。
一方で翻訳プラットフォームであるPootleの使い方は世界中で共通です*3。なので、Pootleガイドについてはオリジナルコンテンツではなく、日本語訳を用意しているわけです。
ここのところの判断はいつも悩んでいるので、もしグローバルのWikiを見て「翻訳欲しいなあ」と思われた方は、ぜひぜひその旨を知らせてもらえればなと思います。逆に「細かい話は英語で読むから、入門的な話とかを独自に書いて欲しい」という意見も歓迎です。もちろん、TDF Wikiはサインアップすれば誰でもページ作成可能なので、ご自分でページ作ってもらっても構いませんよ*4!
個人的には Development 関係は「どうせ深入りしたい人は英語と向き合わざるを得ない」ので翻訳よりかはエントリー層向けのガイドラインを独自コンテンツで書き、エンドユーザーや非開発系(翻訳も含む)向けコンテンツは翻訳でやるのがいいのかなあと考えています。
日本リージョナルな情報を英語で発信
私が最近ちょっとやってるのは、「日本だと誰がどんなことやってるの?」ということをグローバルに対して発信したいということです。アクティビティを見せることはFLOSSにおいてとても重要だと私は考えているので。なので下手くそな英語でブログ書いたりしてるわけでして*5。
で、同じようなことをTDF Wikiでやるのが密かに辛いのですな。というのは、先ほど書いたように「末尾に /ja がつく翻訳コンテンツ」と「頭に JA/ がつく日本語独自コンテンツ」があるけど、日本リージョナルな情報を英語で書く「ここ!」という場所がない。「日本のイベント情報」を書こうとしてはたと困って、しょうが無いので https://wiki.documentfoundation.org/Events/Japan こうやって無理やり書いたんですけど……。なんかいい方法ないかなあ?
おわりに
ドキュメントワークも重要な翻訳でございます。でも翻訳が必ずしも優先度が高いわけでなく日本語話者、日本向けの独自コンテンツのほうが大事なときもあるわけで。翻訳は情報提供の手段に過ぎないので、グローバル文書の翻訳カバレッジを上げることが目的化しないようにしたほうがいいですね。
では! 年末も残り少ないので、良いお年を!