おがさわらなるひこのオープンソースとかプログラミングとか印刷技術とか

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LibreOfficeの新しいUIコンセプト「MUFFIN」について

Facebook「LibreOffice(日本語)」ページにアナウンスとして書いたらちょっと長文になってしまったので、もったいないのでこっちに転記します。

LibreOfficeを支援する非営利団体The Document Foundation(TDF)により、LibreOfficeの新しいUIコンセプトである「MUFFIN」が発表されました

MUFFINはMy User Friendly & Flexible INterface(私のユーザーフレンドリで柔軟なインターフェイス)の略ということになっていますが、まあ、正直なところこの手の頭字語の常で、強引な点はご容赦ということで。

でも、この単語はそれぞれMUFFINのコンセプトを表すキーとなっています。以下ざっくりとした訳。

  1. My(私の): LibreOfficeユーザーは「個人的な(personal)」UIを手にします。ユーザーの個人的な習慣にあわせることができる選択肢がそれを可能にします。選択肢のない唯一のUIではなく。
  2. User Friendly(ユーザーフレンドリ): もちろん、どんなUIも可能な限りユーザーフレンドリであるべきですが、LibreOfficeのユーザーはずっと「モジュラーな」UI、ユーザーフレンドリーさの段階を自分で設定できるUI、を求めてきました。選択肢のない唯一のUIではなく。
  3. Flexible(柔軟な): 異なる性格や画面サイズ、解像度を持つ異なるハードウェアプラットフォーム(つまりデスクトップとラップトップ)で利用するLibreOfficeユーザーが増えてきて、実際の画面に併せて変更できるUIを求めてきました。選択肢のない唯一のUIではなく。
  4. INterface(インターフェース): MUFFINのコンセプトは、LibreOffice 5.3から、標準あるいは実験的機能として提供された異なるUI要素の組み合わせです。デフォルトのUI(ツールバーあり)、シングルツールバーUI、シングルツールバーありのサイドバー、新しい「ノートブックバー」(実験的機能)。それぞれのUIレイアウトはLibreOfficeユーザーのそれぞれ異なった集団向けとして考えられています。

私の理解では、現代の文脈では「選択肢のない唯一最高のUI」を提示することがよい、とされていると思っています。それは一面において真実だとは思うのですが、どことなく「唯一最高のものを提示して与えてあげる」というところに独善的な匂いを感じることも事実です(その独善性こそがよいというのも、もちろん認めますが)。

一方で個別的であること、自分の好きなようにカスタマイズできることは、オープンソース的で開かれたシステムを志向していて、好感が持てると個人的には思っています。各段落で「選択肢のない唯一のUI」を否定しているのは、「その立場は立場として、我々は選択肢を是とするよ」という宣言だと私(小笠原)は考えています。

「実験的な機能」として提供された「ノートブックバー」*1 はタブ付きのツールバーのようなもの(リンク先スクリーンショットを参照)で、いわばMicrosoft Officeの「リボン」的なUIです。

LibreOfficeMicrosoft Officeの互換品ではないので彼らのUIデザインを踏襲する必要はない派、そうはいっても置き換えとして使われることが多いのだからUIデザインを合わせるべき派というのはそれぞれにおりまして(個人的には前者)、後者の意見を尊重しながらも、安易な真似にならないよう*2 にUIコンセプトとして提案するという努力は買いたいと思っております。

上のざっくり訳にも書いたとおり、現在開発中のLibreOffice 5.3から「ノートブックバー」をお試しで利用することができます。[オプション]>[詳細]にて[実験的な機能を有効にする]をオンにした上で、[表示]>[ツールバーレイアウト]>[ノートブックバー](翻訳はまだ適用されていないかも)。

まだまだ使い物になるレベルではないですが、味見してみてもいいと思います。「こうしたほうがいいんじゃないかな?」みたいな提案もどんどんとしていきましょう。

*1:部分的に訳があてられてますが、単にカタカナで呼ぶべきかどうかちょっと検討したいです。

*2:仔細に議論は追ってないですが、海外の掲示板などで「ノートブックバー」の導入についてはけっこうフレームしているらしいです。