LibreOfficeとSNS
2017年のLibreOffice Advent Calendar始まりますよ、と。
初日なので小ネタでご挨拶。こんなネタでもいいので、皆さん書いて書いて。
LibreOfficeの話題を扱う公式非公式なSNSなチャネルをご紹介します。
私が一番文字数を読んで書いているのはTwitterだと思います。そんなTwitterにもLibreOfficeの情報は色々と。
- ハッシュタグ #LibOJP 私個人が何かLibOネタを日本語で書いたりするときはこのタグをつけてつぶやきます。後述するAskBotの新規質問もこのタグがついて流れます。
- LibreOffice 日本語チーム (@LibreOffice_Ja) | Twitter LibreOffice日本語チームのTwitterアカウントなのですが中の人が忙しく(私も実は中の人の一人なのですがついこちらへのポストはサボってしまい)あまり更新されていません。来年こそは……?
- Ask LibreOffice(日本語) (@askliboja) | Twitter LibreOfficeのQ&AサイトAskBot日本語版のTwitterアカウント。
- LibreOffice (@libreoffice) | Twitter LibreOffice公式。
- Document Foundation (@tdforg) | Twitter LibreOfficeおよびDocument Liberation ProjectのホームであるThe Document Foundation公式。
- LibreOffice Design (@liboDesign) | Twitter LibreOfficeのデザインチーム公式。
- LibreOffice Bugzilla (@LibreOfficeBugs) | Twitter LibreOfficeのBugzillaのアカウント。バグが治ったときに「治ったよ!」と告知してくれる。
非ギークな人たちはTwitterよりFacebookなのかしら。若い人たちはそうでもないようですけど。
- LibreOffice (日本語) - ホーム | Facebook LibreOffice日本語チームの告知用ページ。主に記事を書いてるのは私。イベント告知とかTDF公式ブログ の記事紹介とか。
- LibreOffice - 写真90件 - ソフトウェア - こちらは公式。
- LibreOffice Users LibreOfficeユーザー向けクローズドグループ。そんなに活発じゃないです。
Google+
私はたまーに英語のポストをするだけなんですけど、LibreOfficeの開発者は割とこっちにいることが多いみたい。あまり知りませんが……(補足があったらコメントで教えてください)。
Telegram
チャットアプリTelegramにもLibreOfficeのチャンネルがいくつかあります。IRCともブリッジしてたりするので、IRCを除けば一番活発なのはここかも。
- LibreOffice グローバルコミュニティのチャンネル。イベント写真とかアップすると反応がいいです :)
- LibreOffice QA 品質保証チームのみなさんのチャンネル。「これバグかな? 起票したほうがいい?」みたいなのをカジュアルに聞くならここ。ただし猛烈に流量が多いです。
- LibreOffice CJK LibreOfficeのCJK(Chinese = 中国語、Japanese = 日本語、Korean = 韓国語)について話し合うチャンネル。CJKバグについて話すならこのチャンネルがベター。
もちろん公式な議論の場であるメーリングリストもありますが、SNSをうまく使うと情報を手早く入手できたり、カジュアルな相談ができたりするので、うまいところ使っていきましょう!
LibreOffice mini-conference 2017 Japan (in openSUSE.Asia Summit 2017 Tokyo)
もう一月近く経ってしまったのですが、10月22日に、LibreOffice mini-conference 2017 Japanというイベントをやりました。参加いただいた皆様ありがとうございました。
このイベントは、10月21日、22日に、調布の電気通信大学で行われたopenSUSE.Asia Summit 2017 Tokyoの「イベント内イベント」です。
昨年末に行われたLibreOffice Kaigiが「日本語ユーザーによる日本語ユーザーのためのイベント」であり、それを象徴するように日本語の「会議」から名前を取って「Kaigi」にしましたが*1、「mini-conference」は、ヨーロッパの年次会議LibreOffice Conferenceのように、グローバルなカンファレンス(だけれども地域的)というのを目指したイベントです。
正直な話、LibreOfficeの日本コミュニティだけで国際イベントをホストするのは難しいけどやりたいなあと思っていたところ、openSUSE.Asia Summitの手伝いをすることになったので*2 じゃあ一緒にやりましょうということにさせてもらいました。
幸いなことにThe Document Foundationから「登壇者の旅費を補助していいよ」と言ってもらったので、シルバースポンサー扱いとさせてもらいました。日本、台湾、インドネシアと3カ国、6人の登壇者+LTと、まあなんとかmini-conferenceとして格好がついたと思います。ありがたやありがたや。
オープニングトーク: "LibreOffice: The Office Suite with Mixing Bowl Culture"
私のトークです。
実行委員としてCall for Proposalの告知を出して、はーやれやれと思ったところで「当然、トーク応募してくれますよね?」「うーんでも最近あんま活動してないから取り立てて面白いこと話せないからなあ」「でも、今回はopenSUSEのイベントなので、openSUSEな人たちにLibreOfficeってどういうものかをちゃんと説明するような講演があってもいいと思いますよ?」「うーんそれなら、TDFのオフィシャルプレゼンを眺めながらなんか提案作れるかも」ってことで題材を決めて話したものです。
TDFのオフィシャルプレゼンというのは↓
File:Final-libreofficeintro.odp - The Document Foundation Wiki
これで、このスライドの中で「Umbrella Culture」と「Mixing Bowl Culture」という図があって、おおこれ、と思ってタイトルにいただきました。
自分がなんでLibreOfficeというプロジェクトに関わり続けているかというと、このプロジェクトはやっぱり「何かやろうとする人に対しては優しい」ことなんだよなあと思うのです。誰でも参加できるんだよ、誰が特別ということはないんだよ、ということを表すいい言葉だなーと思ってですね。
別に新しいことを何かお伝えするプレゼンではなかったですが、自分なりに言わんとしていることは表現できたかなー、とちょっぴり自画自賛。ただ、昔からこのプロジェクトに関わってきた人には少しつまらなかったかもしれません。それはしょうがないね。
”The Interoperability of Documents" by Franklin Weng
前日の「TDFメンバーになろう!」というLTが超ウケていた、台湾のFranklin Weng氏によるプレゼン。
「最初はODF vs. OOXMLという内容を話そうと思っていた。しかしそれよりも重要な視点があることに気づいた。文書の相互運用性についてだ」
という口切りから、彼らしい話術で時には笑いを誘いながら、デジタル時代の文書作成において相互運用がどれだけ大事であるか。「ドキュメントの相互運用とはドキュメントを交換できることではない。共同でよりよく作業することだ」。そのためにはODFのようなオープンな標準を用い、スタイルなどの機能を適切に用い、オープンなフォントを用いること。
「国際標準フォーマットという意味ではOOXMLもISO標準ではないか」という点についても、仕様の安定性、シンプルさなどの点からODFのほうが優れているということを、最新のLibreOfficeで作成したプレゼンテーションをLibreOffice 4.0という非常に古いバージョンで開いても正しく開けるというデモを交えて説明していました。
ドキュメントの相互運用性という視点は、たまたまではありますが、今回のmini-conferenceを通したテーマになっていたと思います。さすがのFranklin、非常に面白い内容でした。
"State of CJK issues of LibreOffice" by Shinji Enoki
今年イタリアはローマで行われたLibreOffice Conferenceの参加者シャツ*3 を着て登壇したLibreOffice日本語チームの榎さんは、ローマで行ったプレゼンの再演として、LibreOfficeのCJKに関する問題についてまとめたプレゼンを行いました。
The Document Foundationの「Next Decade Manifest」に、つぎのような表現があります。
私達の立場:
すべての人が、私たちのオフィススイートを母国語に翻訳し、母国語で文書化し、母国語でサポートし、母国語で普及ができるようにして、母国語の保護を支援します。
この立場に立って考えると、我々日本語話者が母語*4 である日本語でオフィスソフトを使うためには、単にUIが翻訳されているというだけではなく、日本語……それに限らず、中国・台湾・韓国……つまりCJKが正しく使えることが大事なのです。 ですが、自分自身の使っていない言語について「正しい」かどうかを判断することはとても難しいので、CJK文化圏で協力して、自分たちで不具合を直し、機能を正しく実装していくことが大事です。
ですので、現状はどうなっているのかをまとめて、共有していくという、榎さんがやっているような活動はとても大事です。
当然、グローバルなコミュニティとしてもその重要性は理解していて、[META] CJK (Chinese, Japanese, Korean, and Vietnamese) language issuesという「メタバグ」や、TelegramのLibreOffice CJKというグループがあったりしますので、このプレゼンで興味を持たれた方はチェックしていただけると嬉しいです。
"Introduction to Japanese Darkness "Excel Houganshi"" by Rin Nakamura
「Excel方眼紙」を題材にしたプレゼン、というだけで面白さが保証された内容をお話いただいたのは、関西LibreOffice勉強会などでおなじみの中村さん。豊富な実例を交えてExcel方眼紙の何がよろしくないかを話していただきました。たくさんの笑いどころが含まれたプレゼンで大変に面白かったです。
面白おかしいだけではなく、Excel方眼紙を読みやすいドキュメントにまとめるライブデモは見ごたえがありました。
先程の繰り返しになりますが、ドキュメントの相互運用とは他人との作業の協調である、という視点から考えると、Excel方眼紙は最終的な見た目だけしか考えておらず、相互運用という意味ではまったく劣ったドキュメント形式です。「道具は正しく使ってください」という中村さんのメッセージは、当たり前にも聞こえますが、今回のmini-conferenceにおける最も重要なメッセージだったと言えるのではないかと思います。
"Write Your Story with OpenSource" by Umul Sidikoh
インドネシアの若き女性オープンソース愛好家、Umulは、Writerの機能を使って長文を書くテクニックについて、実演を交えて話してくれました。
正直なお話、もうちょっと内容については詰めておけばよかったかなあと後悔したりもしましたし、デモを交えてお話するのは少しチャレンジだったかな……? という印象を受けましたが、彼女にとってはこれが初の海外なのだそうで、若い人にそういうチャンスを上げられたということで、それは良かったと思います。できれば、今後ともインドネシアの他のLibreOfficeコミュニティメンバーともコンタクトをうまくとって、活動を継続してもらえたらなと思います。
彼女のテーマであるWriterの機能をちゃんと使って文章を書きましょうという話は、ドキュメントの相互運用性を高めるために道具を正しく使う……という視点で筋が通っていて、そういう意味で(別にそういう示し合わせがあったわけではまったくないのですが)mini-conferenceの一つの講演としてよかったです。
"How to build LibreOffice on your desktop" by Masataka Kondo
LibreOffice日本語チームの近藤さんは、「自分のデスクトップでLibreOfficeをビルドしてみようよ!」というプレゼンをしてくれました。
オープンソースなのだからまずはビルドから初めてみない? というのは、mini-conferenceの締めくくりにふさわしいトークだったと思います。
私はUbuntuなので apt-get build-dep libreoffice
してから、configureしてコケたメッセージをみながら足りない部分をちょこちょこ入れていくという手順でやっているのですが、ゼロから足りないモジュールを探していくのも勉強になるかもしれないなあと思いながら聞いていました。
Franklinから「dockerを使えばビルド環境をかんたんに構築できるんじゃないか?」といったコメントも出ていました*5。これについては私も試してみたいですね。
そして二つのLT
アイクラフトさんでインターンをしている、Mohamed TRABELSIさんとAschalew Arega Ademeさんが、LibreOfficeについてのLTをしてくれました。チュニジアとエチオピアという、それぞれの国の事情がわかって非常に興味深いLTでした。
まったくまとまっていないまとめ
いろいろ大変で、しばらく燃え尽き症候群でぐったりしていましたが、思ったよりもずっといいイベントになったかなーと思います。
登壇してくれた、参加してくれた、手伝ってくれた皆様、本当にありがとうございました!
ぼくのなつやすみ - OSC京都からCOSCUP、台湾観光など -
ちゃんと書いてなかったけど口頭では色んな人に言ってたしSwarmで居所垂れ流してたので知ってる人は知ってるでしょう。8/4から夏休みをいただいてOSC京都からCOSCUPをはしごして台北を観光してきました。
OSC京都
OSC京都は久しぶりに金曜日から参加。だいこん行きたい!ってワガママを言ったらアレンジしてくださって感謝感激。だいこんも天然記念物だなあ。残りの人生であと何回行けるだろうか……。
相変わらずLibOのブースで自前でビルドしたLOOLのデモしたり最新5.4の機能紹介したりしてました。ブースの手伝いするよと事前に一言も言ってないのに勝手にデモ機を置いたりして酷いやつです我ながら。
お隣のアイクラフトさんでNextCloudと組み合わせてちゃんとネットワークの向こうに置いたLOOLのデモをやってらしたので、こっちはややギーク目な解説に振ってみた(実際の使い方は隣を見てってねと誘導)のですが上手く住み分けできてましたかねえ。というか、隣のブースなのにちゃんと挨拶もしてなくてすみませんすみません(人見知りなもので)。
OSCのアンケート見たら「LibreOfficeのブースが面白かった」ってのがひとつだけあったのですが、アイクラフトさんのブースの方が明らかに客付きがよかったのでそっちの可能性が高いですね。まあでもこちらのとしては楽しかったです。
あとUbuntu KRのDrake Songさんのお話は面白かった。
COSCUP
土曜日8/5は展示の片付けまでは手伝って、懇親会を(残念ながら)パスして関空に移動して台北まで。夜中でも普通にバスが動いててびっくりしました。
で、日曜日だけCOSCUPに参加。ずーっと参加したいしたいと思っててようやっと。実は行こうと思ったときにはすでにチケット完売してたので、台湾LibOコミュニティの牽引役で何かとお世話になっているFranklin Weng氏にお願いして入れてもらいました。ワガママ言ってごめんね。
中国語はまったくわからない(いや英語もあんまりできませんが)ながらもスライドは英語だったし、プログラミング系はコードは各国語共通なので楽しめました。OSSコミュニティについてのトラックとかも興味を惹かれたんだけどきっとハイコンテクストすぎて難しいかなと思い断念。
すごい熱気があるのと、なにより若い人がいっぱいいてうらやましいなって思いました。開発系のコミュニティ(RustとかGoとか)が混じっているからかしらねえ。
次回は可能なら土日、ちゃんとチケット取って行きたい。できれば発表とかもしたいな。
観光とか
あけて月曜日8/7はホテルを出てふらついていたら総督府とか中正記念堂とかの方に出たのでそのまま見学。記念堂の展示、勉強になったけど、なんというか、気持的に微妙だなと思いました。それから台北101に出てごはんたべたり展望台に上がったり。一旦ホテルに戻ってから北門を見たり。くたびれたけど楽しかった。
そして夕方はItalo Vignoli氏と台湾コミュニティのミートアップに混ぜてもらう。場所はMozilla TWの持つハックスペースで、電気街の雑居ビルにあってなかなかおもしろそうな場所。
いろんな議論は興味深かったです。このイベントについてはリンク先参照のこと。あと、月曜の夜という時間にも関わらずすごい沢山の人が集まっていてすごいなって思いました。
そして、イベント後にLibOのCJKバグをたくさん修正しているMark Hung氏と一緒に食事に行き色々と話す。CJKバグを直してみたいって思った場合コードのどこ参照すればいいとかってある?って聞いたら「OOoの開発Wiki。あとはカンタンなバグを直して、またもう少し難しいバグを直しての繰り返し。近道はないよ」っていわれました。そりゃそうだ。それとやはり台湾コミュニティでも若者はデスクトップアプリケーションに関心をあまり示さないようで、他の国、例えばヨーロッパとかはどうやってるんだろうねえって話をしたりもしました。
8/8はスーパーマーケットに行ってオミヤゲのインスタントラーメンを購入後、前述FranklinがItaloと一緒に故宮博物院に連れて行ってくれました。素晴らしい美術品の数々でぼくの語彙ではとても表現できないんだけど、「いやー君はなんで白菜をこんなに美しく作る必要があったのかね?」とは思いました。すばらしい。私のフライトがちょっと早めだったのでみんなを早々に切り上げさせてしまったのが申し訳ない&自分としても残念。ぜんぜん時間足りなかった。また行きたいな。で、松山空港まで送ってもらって解散。
ちょっと日程が(思ったより)カツカツで夜市とか行けなかったりあんまり台湾っぽいものを食べられなかったりしたのは残念なんだけど、まあこれも次回に行く機会ができたと思えば……ね。
そんなわけで、現地でお世話になった皆さん、日本でお休み快諾してくれた皆さん、ありがとうございました。
写真は北門公園の夕暮れ。
参考記事:Italo Vignoli氏の台北報告。
寄付:質問とその回答(TDF Blogの翻訳仮置き場)
※この文書はThe Document Foundationによる “Donation: questions and answers” の参考訳です。 訳したのはよいのですが置き場所がないので私のブログに仮置き。公式っぽい場所を検討しております。
あと、かなりエイヤーで訳したので、適切でない部分もあるかもです(そもそも、何度も書いておりますがワタクシあまり英語が得手ではありませぬ)。編集途中のバージョンのリンク(Google Docs)置いておくので、コメントよろです。
続きを読む執筆報告など(Ubuntu 17.04のドライバーレス印刷関係)
ごぶさたさまです。珍しくメディアに執筆をしたので宣伝的なエントリー。Amazonなリンクはアフィなので嫌な人は踏まないでね。
どっちもUbuntu 17.04注目の?新機能、ドライバレス印刷についての記事です。
5月24日、gihyo.jpの人気連載Ubuntu Weekly Recipeに次の記事を書かせてていただきまして、
ついで、本日発売(だよね?)の日経Linux 2017年7月号の特集2「新登場! ここが変わった! Ubuntu 17.04 徹底解説」に、Ubuntu Japanese Teamのみなさんに一人混じって*1 2ページ書かせていただきました。
日経Linux執筆裏話。
裏話というほどのものでもないですが。
日経Linuxさんで、Ubuntu 17.04の特集が企画されているけど、印刷関係の機能も紹介したほうがいいと思うので、2ページほど書けますか? と、本特集のとりまとめをしていた……名前書いていいのかな……とかもったいぶっていたらご本人から表明がありましたが、あわしろいくやさんからご連絡をいただいたのがきっかけです。
紙媒体と電子媒体という違いもありまして、公開はRecipeのほうが先ですが、そもそもは日経Linuxさんのほうが先だったわけです。
17.04といえばドライバーレス印刷で、それからUnity8でも印刷機能がちゃんと動くようになったよ! という(密かな)ウリがありまして、それを書かせていただけるのは光栄だなあと思いお引き受け。最近いろいろアクティビティ下がってますけど、2ページぐらいなら書けるかなと。
私、一応メインの個人PC環境はずっとUbuntuで、昔はベータぐらいの段階で do-release-upgrade
してずっと最新を追いかける生活をしていたのですが、なんか色々気力がつきてしまい、16.04で止まっていました*2。
でも記事を書くとなればやっぱネイティブ17.04の環境がほしいなあって思いまして、重い腰を上げて秋葉原でSSDを買って、17.04をインストールしたのが4月下旬。ぼやぼやしてると5月ではないか。締め切りすぐではないか。やばい。
そんなわけで、まずはドライバーレス印刷から試そう! と、昨年6月に今のアパートに転居したときに箱にしまって、そのままにしていた
を取り出しまして、コンセント繋いで電源ON! ……ん? なにこのエラー? E3?
本製品の液晶画面に表示されるエラー番号について | ブラザー
E3: 基板に異常が発生しています。
これはあかんやつなのではないか。あわわ。プリンターが壊れていたら記事が書けないではないか。
いやまて、もう長いこと新しいプリンター買ってないし(調べたらDCP-J940Nを買ったのは2012年……もうそんなになるのか)。これは買うよい口実では。
ということでいそいそと新橋のヤマダに行って買ってきました。
前述のRecipeで、エプソンにしたのはいくやさんの書いた過去のRecipeの機種選定理由と同じと書きましたが、それは本当です。私はプリンターマニアっぽく思われてますけど基本プリンターは投げ売りしか買ってないので、2万円弱もする高級品を買ったのは多分20年ぶりですが、エプソンは投げ売りをしないので(よいことです)しょうがない。
まーそんなわけでさくっとWi-Fi繋いだらその瞬間からUbuntuのプリンターアイコンが追加されてて、印刷!ってやるとシュシュシュって紙が出て……すげー! 感動。
が、あれれ? カラーで出ない。なんで? と思い色々調べたって内容はRecipeに書いたので、ここでは割愛。 書いた内容は記憶をたどって書いたので実際とはまったく同じではないですが、誇張なしです。
ともかく、ドライバーレス記事は書けるようになったので、ざくっとまずは使い方HowToを書いてみた……ら。 分量的に全然つらいです。Unity 8の印刷? ごめん、入らないですね……。
最初は:
- 基本となる使い方(ってつなぐだけで使えます以上のことはないんですけど)
- 動作原理の概説
- 実際の動きを説明
みたいなストーリーを考えてたんですが、全部書いてみたらまったく字数オーバーで、実際の動きを説明する部分はお蔵入り。 それでも大きくアフレてしまい、編集さんにはお手数をおかけしました。
結果としてはまあまあうまくまとまったんじゃないかな? と思います。
Recipe裏話
で、まあ、執筆のさなかにUbuntu 17.04リリース記念オフラインミーティング17.05がありまして、本編は事情があって出られなかったのですが二次会にだけ混ぜてもらいました。
そこでダラダラと雑談してるときに、
「いやー日経さんの記事書こうと思ったらプリンター壊れてて大変だったんすよー」 「印刷してみたらモノクロしか出ないし」 「で、色々調べて、こうこうこうだなって思って」 「どこで報告すっかなーってこうこう考えてレポートして」 「案の定Tillが拾ってMikeと相談して、今どうしようかって相談してるぽいっす」
みたいなことを話したら、「その話面白いですよ、Recipeに書いてください」と言ってもらい。
そんな内容でよいのであればということで書いたのがあの記事です。
Recipeでは流石に他誌に書くためにプリンター買ったとは書けない?ので自発的に買ってきたみたいに書いてますが、それ以外はさっきも書きましたが、ほぼ掛け値なしに本当の内容です。
これも繰り返しですがこの内容のほうが先に公開されてしまうので、書き方は少し気をつけました。Recipeと銘打っているにもかかわらず、レシピ的ではなくて時系列な「お話」にしようというのは最初から考えていたことです。日経Linuxの原稿で書いたけどお蔵入りした、実際のドライバーレス印刷はどう動いているか的な話は、この記事ではトラブルシュートの道筋として書いていますので頭に入りにくいかもしれませんが、それは意図的です。成功しているかどうかはわかりませんが。
両方公開された今、メディアミックス的に両方の記事を楽しんでもらえたらなー。と、思います。
Unity8の印刷
完全にボツになったUnity8の印刷ネタですけど、下回りは通常と同じですし、設定画面は普通にsystem-config-printerが動いてるだけだったので、まあ省略してもいいかな?と。
未来への宿題
この二つの記事を書く途中に
この記事にあたったんですけど、ちょっと色々と誤解を生みそうな記事だなあと思ったので、いつか解説を書こうと思います。
LibreOfficeの新しいUIコンセプト「MUFFIN」について
Facebookの「LibreOffice(日本語)」ページにアナウンスとして書いたらちょっと長文になってしまったので、もったいないのでこっちに転記します。
LibreOfficeを支援する非営利団体The Document Foundation(TDF)により、LibreOfficeの新しいUIコンセプトである「MUFFIN」が発表されました。
MUFFINはMy User Friendly & Flexible INterface(私のユーザーフレンドリで柔軟なインターフェイス)の略ということになっていますが、まあ、正直なところこの手の頭字語の常で、強引な点はご容赦ということで。
でも、この単語はそれぞれMUFFINのコンセプトを表すキーとなっています。以下ざっくりとした訳。
- My(私の): LibreOfficeユーザーは「個人的な(personal)」UIを手にします。ユーザーの個人的な習慣にあわせることができる選択肢がそれを可能にします。選択肢のない唯一のUIではなく。
- User Friendly(ユーザーフレンドリ): もちろん、どんなUIも可能な限りユーザーフレンドリであるべきですが、LibreOfficeのユーザーはずっと「モジュラーな」UI、ユーザーフレンドリーさの段階を自分で設定できるUI、を求めてきました。選択肢のない唯一のUIではなく。
- Flexible(柔軟な): 異なる性格や画面サイズ、解像度を持つ異なるハードウェアプラットフォーム(つまりデスクトップとラップトップ)で利用するLibreOfficeユーザーが増えてきて、実際の画面に併せて変更できるUIを求めてきました。選択肢のない唯一のUIではなく。
- INterface(インターフェース): MUFFINのコンセプトは、LibreOffice 5.3から、標準あるいは実験的機能として提供された異なるUI要素の組み合わせです。デフォルトのUI(ツールバーあり)、シングルツールバーUI、シングルツールバーありのサイドバー、新しい「ノートブックバー」(実験的機能)。それぞれのUIレイアウトはLibreOfficeユーザーのそれぞれ異なった集団向けとして考えられています。
私の理解では、現代の文脈では「選択肢のない唯一最高のUI」を提示することがよい、とされていると思っています。それは一面において真実だとは思うのですが、どことなく「唯一最高のものを提示して与えてあげる」というところに独善的な匂いを感じることも事実です(その独善性こそがよいというのも、もちろん認めますが)。
一方で個別的であること、自分の好きなようにカスタマイズできることは、オープンソース的で開かれたシステムを志向していて、好感が持てると個人的には思っています。各段落で「選択肢のない唯一のUI」を否定しているのは、「その立場は立場として、我々は選択肢を是とするよ」という宣言だと私(小笠原)は考えています。
「実験的な機能」として提供された「ノートブックバー」*1 はタブ付きのツールバーのようなもの(リンク先スクリーンショットを参照)で、いわばMicrosoft Officeの「リボン」的なUIです。
LibreOfficeはMicrosoft Officeの互換品ではないので彼らのUIデザインを踏襲する必要はない派、そうはいっても置き換えとして使われることが多いのだからUIデザインを合わせるべき派というのはそれぞれにおりまして(個人的には前者)、後者の意見を尊重しながらも、安易な真似にならないよう*2 にUIコンセプトとして提案するという努力は買いたいと思っております。
上のざっくり訳にも書いたとおり、現在開発中のLibreOffice 5.3から「ノートブックバー」をお試しで利用することができます。[オプション]>[詳細]にて[実験的な機能を有効にする]をオンにした上で、[表示]>[ツールバーレイアウト]>[ノートブックバー](翻訳はまだ適用されていないかも)。
まだまだ使い物になるレベルではないですが、味見してみてもいいと思います。「こうしたほうがいいんじゃないかな?」みたいな提案もどんどんとしていきましょう。
Document Liberation Projectについて
この記事はLibreOffice Advent Calendar 2016 12月17日の記事です*1。
LibreOfficeをホストする非営利法人The Document Foundationのもう一つのプロジェクトであるDocument Liberation Project(ドキュメント解放プロジェクト、かな?)についてはあまり日本語の情報がないと思いますので、ちょっと紹介しようかなと。今回はあくまでもあっさりした紹介です。
英語に拒否反応がない人ならこのビデオを見るのがいいかもしれません。字幕付きなのでヒアリングがダメな人(私のことだ!)でも大丈夫です。
大雑把にいうと、プロプライエタリなドキュメント形式を読み込むインポートフィルタを開発し、それを、よりオープンなドキュメント形式で保存することで、ユーザーの知的財産であるドキュメントを「解放」しようというプロジェクトです。開発されたインポートフィルタはLibreOfficeでも用いられていますし、他のプロジェクト(たとえばInkscape、Scribus、Calligra)などでも用いられます。
今日のところは、Document Liberation Projectの傘下にあるプロジェクト群を単純に列挙します。
基盤ライブラリ
ライブラリ名 | 内容 |
---|---|
librevenge | 他のすべてのライブラリの基礎となるもので、ドキュメントインタフェースと共通型を提供。またいくつかのフォーマット(プレーンテキスト、HTML、CSV、SVG)へのエクスポートも提供 |
エクスポートライブラリ
ライブラリ名 | 内容 |
---|---|
libodfgen | ODF エクスポートライブラリ |
libepubgen | EPUB エクスポートライブラリ |
librvngabw | AbiWordエクスポートライブラリ |
インポートライブラリ
ライブラリ名 | 内容 |
---|---|
libwpd | Corel WordPerfectインポートライブラリ |
libwpg | Corel WordPerfectグラフィックスインポートライブラリ |
libwps | Microsoft Worksインポートライブラリ |
libmwaw | たくさんの古いMacドキュメントインポートライブラリ |
libabw | AbiWordインポートライブラリ |
libcdr | Corel Drawインポートライブラリ |
libmspub | Microsoft Publisherインポートライブラリ |
libvisio | Microsoft Visioインポートライブラリ |
libetonyek | Apple Keynote/Pages/Numbers インポートライブラリ |
libfreehand | Aldus/Macromedia/Adobe FreeHand インポートライブラリ |
libe-book | たくさんの電子ブック用インポートライブラリ |
libpagemaker | Adobe PageMaker インポートライブラリ |
現在使われているドキュメント形式だけでなく、ちょっと懐かしい感じなものもあります。たとえばlibmwawはクラシックMacのMacWriteなどをサポートしていたり、libe-bookのサポート形式にはPalmで広く使われていた電子ブックフォーマットのPalmDocがあったりしています。
このように、すでにベンダーによって見捨てられたデータ形式であっても、Document Liberatoin Projectの成果物によってよりモダンなフォーマット(=ODF)として蘇らせることができるというのがこのプロジェクトの意義だったりします。
本日はひとまずさわりだけですが、技術的な面もご紹介できたらなーと思います。
*1:書き始めたのが25日の夜10時半であることは考えないことにしましょう。