コンピューターの知識を得ようぜ 第001回
前回の第0回でいろいろ候補は出たんだけど、私が「OSやるのがいいんじゃね?」ということで押し切った。
OSはハードウェアとソフトウェア(ユーザーランド)を繋ぐ中間層なので、上下両方見られて、「コンピューターの知識を得る」とっかかりにはいいと思ったのだ。
しかしまあ、主催者の意向とかあんまり考えず、勉強会ジャック的に無理やり主張した点はやや反省し、とりあえずケツを拭くために資料を書くことにした。
これもひとまず資料だけ挙げておく。後半投げやりなのは時間がなかったから。
「OSとはなんだろう?」というタイトルのスライドでありながら、その問いにはほとんど答えておらず、前半はほぼうんちくで終わるという凶悪なスライド。
口頭で補足した薀蓄。
- Operating System が IBM 用語だとすると、バローズやユニバックは Master Control System と呼んでた。
- PL/I は IBM が中心になって作った「Fortran と Cobol のどっちの機能も持ってて、システム記述・科学技術計算・事務計算のすべてができる」ことを目指した言語
- BSDのところにある写真はこのサイトからの借り物」
- BSDでTCP/IP socketが導入されたということは、Internetはどうなってたの?
- Bill Gates と Pall Allen 以前にはソフトを売るという考えはなかったのか?
- 正確なところは分からないが、汎用機の時代にはシステムソフトウェアはハードウェアの付属物としてメーカーから配られていたので、ソフトウェアを売って商売になるという考えはほとんどなかったのではないか。
- Win95の互換性の話
- NeXTstep について、Display Postscript は確かにモノにならなかったが、ディスプレイに対して浮動小数点座標(物理座標)で描画指定するという概念は最近ようやっと形になってきたわけで、その意味で先進的。
- Windows はシェルから切り離せるか?
- シェルが提供しているサービスに依存したアプリケーションがたくさんあるので現実的ではないが、技術的には入れ替え可能。
そんなわけで次回
私の強引な提案が通って、MITのOpenCourseWare*1 から6.828 Operating System Engineeringのテキストをだらだら読むことにしました。
各章の担当を決めて読んでくるとかの、勉強会時間外の時間を使うような進め方は避けたい、とのことなのでそういう形になりました。
ちょろっと読んでみたらなかなか面白いテキストなので先が楽しみです。
(2010.02.22 追記)
ネタ本を挙げておきます。全体的に Wikipedia (とくに en) は写真ネタに多く使わせていただきました。
- 作者: 遠藤諭
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2005/10
- メディア: 単行本
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- 作者: スティーブン・レビー,松田信子,古橋芳恵
- 出版社/メーカー: 工学社
- 発売日: 1987/02
- メディア: 単行本
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最後の章の Symbolics 対 LMI の戦い、RMS の活躍は必読。読むべし。
- 作者: 宮川晋,増田佳泰,古場正行
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 1995/03
- メディア: 単行本
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ディベート:リナックスは時代遅れだ
今更なんですけどね。まあ歴史的に読んでおく価値はある論争かと。
*1:MITが主要な授業のテキストやものによっては講義ビデオなどを CC-BY-NC-SA で配布している素晴らしいプロジェクト。