おがさわらなるひこのオープンソースとかプログラミングとか印刷技術とか

おがさわらなるひこ @naru0ga が技術系で興味を持ったりなんだりしたことをたまーに書くブログです。最近はてなダイアリー放置しすぎて記事書くたびにはてな記法忘れるのではてなブログに移行しました。

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openSUSE 勉強会 2009 年 2 月

Linux コミュニティ勉強会としては非常にメジャーな Debian 勉強会に比べるとややマイナーな感がある openSUSE 勉強会*1

募集・告知が OSPN SNS でしか行われていないのがマイナーな一要因だと思うので、ぜひ ML などのみんなの目につきやすいところで告知してね、ということをお願いしたら、告知が出てました。
ついでにスピーカーも募集していたので、伝説の Lightning Talk (d:id:naruoga:20081120:2300319637, d:id:naruoga:20081122:1227363174) の資料を膨らませる形でよければ、ということで、発表もすることにしました。
ええ、ご存知のとおり私 Ubuntu ユーザなんですけどね (^^;)。


勉強会 Wiki はこちら。


まずは幹事の冬空風さん、おつかれさまでした!
それから会場をご提供いただいた、びぎねっとさんにも感謝感謝です。


さて。
金曜日の夜からクルマを運転して御嶽駅近くの駐車場に着き、ほとんど寝てないので1時間仮眠したのち電車で渋谷に移動。
なんでそんな行動をとったかというと、

  • 翌日(日曜日)漕ぎにいきたい。
  • でももし飲んじゃったりしたら翌日起きられないかもしれない。

という理由なのですが、我ながら実にアホっぽい。

して、渋谷駅近くのマクドナルドで原稿の手直しをして、会場入り。


中に入ると幹事の冬空風さんがもう来て一生懸命作業してた。
なんでも朝早くから来て会場のノート PC に openSUSE を入れてたんだそうで。
お疲れさまです。


この日はメインのトークが二つ、飛び入りが一つ、計三つ。
参加者は総計6人。
もうちょっといると盛り上がって楽しいね。スピーカーとしては一人一人の反応を感じながら喋れるのでうれしいってのはあるけど。

「私のSuSEとsurfの因縁話、綺麗なグラフ(代数曲面)を眺める話」by ponpoko さん

数学と Linux のサイト狸穴を運営される ponpoko さんは Knoppix/Math のメンテナの一人であって、SuSE のころからずっと openSUSE のユーザだそうです。
プレゼン資料は前景 Wiki ページに上がっているので、だらだらと感想とも要約ともつかないものを。

ponpoko さんと SuSE
  • SuSE 5.2 のころから SuSE のパッケージは代数曲面 (後述) で彩られていた。
  • これは素敵! ということで購入。
  • 中身も数学関係のパッケージが充実していていい感じ。
    • 勝手な想像だけど、ドイツには元 Physician とか Mathematician とかで、それじゃ食えないからってソフト屋になる奴が多い気がするので、そういう関係かしら。
  • んで、今に至る。
  • openSUSE 11.1 だと Surf (後述) がうまく動かないので 11.0 を現在は使用中。
代数曲面と Surf

  • Surf多項式を与えるとグラフ化してくれるソフトウェア
    • Gnuplot は二次元グラフだけどこいつは三次元が書けて楽しい
    • できたグラフに色をつけたり、ぐるぐる回して鑑賞したり、その場でパラメータを変更したり、ある変数に値を代入して曲線を描いたり、それをプログラムで実行したりできる。
    • MAXIMA と合わせて使えば Mathematica とかいらなくね?
    • Knoppix/Math にあるってことは deb パッケージあるはずだなぁ。
  • デモでいろんな代数曲面をぐりぐり動かしてもらった。
  • 代数曲面においては各曲面の構成要素の多項式を掛け合わせることで、曲面の合成になる。つまり因数分解とは曲面の要素を抽出する行為で、式での掛け算は曲面では和になると。おもしれー。
  • Surf は「まず数式からモデルを作って、それを描画する」のではなくて、リアルタイムで数式解いて描画してるんだって。昨今の CPU パワー恐るべし。
  • 代数曲面、多様体と言い換えてもよいが、は、物理的には観測点の違いによる観測結果の変化に対応するんだって。
  • ドイツでは Surf を使った代数曲面の美術展を行って、来場した子どもたちに Surf で実際に代数曲面を書かせてみたりとかしたらしい。
SuSE と Zuse と古代の計算機
  • SuSE とは Software- und System-Entwicklung(ソフトウェアおよびシステム開発)の略とされているが、実はドイツ人エンジニア Zuse へのオマージュともされている。
  • Zuse については例によって Wikipedia 参照ね。
    • 要は ENIAC よりずっと前にテープからの入力機構を備えた計算機を作ってた人。
    • 世界初の商用コンピュータ Z4 の作者としても有名。
  • じゃあ Zuse の前にはそもそもコンピュータってなかったの?
    • 中国で発明された算木による数式解析(!)なんかもろコンピュータじゃね?
    • パスカルのは単なる足し算機なのであんまり面白くないけど (naruoga 的に)。
    • そういやバベッジの名前が出てこなかったような。
論理数学とコンピュータ

ここの話はものすごく面白かったのだけど、変に要約できないので資料をご参照いただくとして、私的ツボキーワードを羅列。

  • こういう話はガモフ全集「1,2,3...無限大」(asin:4826901216) を高校時代に読んでショックを受けたのだった。
  • 大学に入ってからこれまた GEB (asin:4826901259) を読んでさらに衝撃を受けたのだった。
    • 関係ないが GEB の訳で柳瀬尚紀を知ったんだったなぁ。そういえば。
    • メインの訳者の野崎先生は夏休みの集中講義に来てくれて、非常にエキサイティングな授業だった。ラムダ算法とかチューリング完全の話をしてくれたんだっけ。
    • 工学は努力でもなんとかなるが、理学は天才がやるもの、という刷り込みを受けたのはこのあたり。
  • 自然数論からカントール集合論があってブルバキとかクロネッカーとかがいて、結局ゲーデルが出てくるという流れにワクワク。
  • 高木貞治先生の名前は森毅のエッセイで知ったんだけど(その後図書館で意味もなく著書を借りに行ったミーハー)、計算機的なものの発生を予言してるとはしらなんだ。
最後に戻って数学とコンピュータ
  • MAXIMA ってマッカーシーの MACSYMA (MacLisp を生んだプロジェクトとして有名) の直系だったんだ! てっきりオマージュとして読みを拝借したとかだとばかり。
  • SAGE プロジェクト がなかなか面白い。
    • OSS のいろんな数式処理/グラフ作成/などなどを Python で結合。
    • コマンドラインでさくさくっと電卓的に使ったり、数式解いてグラフで描画とかできちゃう。
    • 面白いのは Windows 版が「Linux カーネルで動く VMware Player のイメージ」+「仮想マシンに接続するクライアントソフト」という実装になってること
      • 仮想コンピューティングの面白い応用例
  • OSS の数学関係ソフトは日に日に充実
    • 入門編としての Knoppix/Math
    • 40万出して Mathematica を買う必要はもうない!
      • 逆に言うと買う人が減ってきたから値段を釣り上げざるを得なかったんじゃないか?
  • でも普段使いは openSUSE だよ (^^)

いやー、1時間15分ぐらいでしたかね。
質疑応答も入れたらもっとか。
すごくおもしろかった! ありがとうございました!>ponpoko さん

Linux Printing 標準化団体 OpenPrinting とその活動内容のご紹介」by naruoga

ま、いつもの内容です。
もう書かなくてもいいよね? ダメ?

  • Linux (つか *nix) の印刷システムはダサダサ
  • Desktop OS としてはありえない
  • それをなんとかしようといろいろ活動してますよ
  • 興味関心を持ってください。よろしくね〜〜〜。

てな話。

質疑応答で例によって和文 PDF の文字化け問題で突っ込まれる。
PDF Print Path なら幸せって言うけど、元に今問題ってことはイケてないじゃんって。
そうじゃなくて、GS 8.6x も Poppler adobe cmap ないと日本語全滅で、ただ印刷するときに和文は Embedded Font にするから問題にならないってことなのでして、GS + PS Print Path だと OK で Poppler + PDF Print Path だと NG ってことではない……と思う。
openSUSE って adobe-cmap 入れてないのかな。あとで調べよう……と思ったけどまだ調べていない。
調べたら ML に投げるか。

Bluetoothデバイスを使えるようになるまで」by 近藤さん

Launch Party のときに Bluetooth への愛を語ってくれた近藤さんによる飛び入りプレゼン。
しかしなぜかディスプレイの外部出力ができなくてみんなでまわりを囲んで聞くという素敵絵図。

要約すると、

  • Bluetooth は素晴らしい。
    • 設定簡単
    • 見通し10mなら届く。向きとか考えなくていい。
    • 遮蔽物があっても大丈夫。
  • けど KDE の管理ツールは動かないので KDE でも GNOMEツールを使わないとなのは悲しす。
  • openSUSEBluetooth のリンクがデッドリンクなのも悲しす。
    • Bugzilla で上げた方がよくね?
  • 内蔵 BluetoothLinux だと認識しなかったり Profile が一部のみ対応だったりと悲しいのでドングルがオススメ。
  • ヘッドフォンの Profile は HSP (ヘッドセット用、モノラル、音質悪し) と A2DP (音楽用) とあるので、間違って前者対応のを買うと泣ける。

うーん、Bluetooth ヘッドフォン欲しくなってしまった……。

おまけ

GLT 12 (d:id:naruoga:20090128:1233161543) と同じトークをしてきました。
案外反響があってうれしい (^^)。

最後に

あくまでも個人的な希望なんだけど、やっぱり最後は軽くお食事とかして親睦を深めたりしたいなぁ。
いや、野郎なら問答無用で拉致るのだが、女の子はちょっと誘いにくいのだよ。

とゆことで飲む気満々で来たのに誰も釣れなかったので、一人で飲んで帰って来ました。
微妙に寂しい (苦笑)。


あと幹事の冬空風さん、すごーく頑張ってくれてるんだけど、頑張りはもっとみんなの目に見える形でやったほうがいいと思うんですよ。
日時の決定やスピーカー募集とかも、SNS じゃなくて ML でやった方がずっとずっといいと思うのです。

というのはやっぱりオープンソースっていうものは、自分が手伝えることをちょっとずつ出し合う、バザールモデルでできているものだから。
頑張ってる姿が目に見えれば、「じゃあ、参加してみようかな」とか「次は私も何か喋ってみようかな」とか「手伝えることあるかな」とか、いい方向に進んで行くと思うのですよ。
コミュニティを活性化するには、頑張りを見せることって大事なんじゃないかしら。

なーんてことを思った次第でありました。


などと説教臭いことはおいといて、非常に面白かったです。
openSUSE は私のメイン環境にはならないとは思うけど、Linux に関連してればある程度何を喋ってもいいって感じの緩さはいい感じなので、また次回も参加したいです。


繰り返しになりますがすべての参加者の方にお疲れさまでした! ということで。

*1:ぶっちゃけ私も定期開催されているのは openSUSE 11.1 Launch Party (d:id:naruoga:20090105:1231128590) で初めて知りましたよ。